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2004/03/22
遺体がビジネスになる
   遺体がビジネスになる。

 それがいまのアメリカの現実だ。

 遺体を売買することなど想像するだけで嫌悪感が走る。あらゆるものが商品になっている時代とはいえ、そんなことがあり得るのだろうか。

 12日、アメリカ、ルイジアナ州のチュレーン大学で医学教育のために献体された遺体が、アメリカ陸軍に売られていたことが明らかになった。陸軍はその遺体で何をしていたのだろうか。

 地雷の爆発によって人間の肉体がどれくらいバラバラになるのかを調べる実験材料にしていたというのである。

 医学研究目的に使われるから、遺族は献体に同意したはずである。それなのに地雷という人殺しの研究に使われていたのである。なぜこんなことが起きるのか。

 同大学には毎年、約150の献体がある。ほとんどの遺体は医学教育に使われていたが、使われないあまった献体がでていた。その余った遺体をニューヨークの仲介業者は、同大学以外の研究機関に「提供」していた。そのうちのひとつが陸軍だったというわけだ。

 陸軍は同大学以外からも遺体を買っており、「必要なデータを得るために妥当な実験だ」と手続き上の問題はない、とコメントしている。

 しかし、遺族や本人から献体の同意をとってきた大学としては納得できない事態だ。大学は陸軍に献体を「提供」していた仲介業者との契約を停止した。

 ここで、仲介業者が「献体を売った」と書かず、「提供した」と表現したのには理由がある。アメリカでは連邦法で臓器や遺体の売買は禁止されているのである。しかし、仲介業者が輸送などの名目で、「手数料」を取ることは許されている。この「手数料」が事実上の、「売買」という商取引になっている。しかし法的には「売買」ではないために、「提供」と表現することになってしまうのだ。この手数料は年間数百億円になるという。

 日本でも同様のビジネスが起きることを想定しておくべきだろう。バイオテクノロジー研究が活況をしてしている今、日本でも遺体や臓器を研究目的に使用したいというニーズが高まっているからである。献体を購入したいという機関がある限り、このような「遺体ビジネス」は起こる。医学の発展のために遺体は必要だ。しかし、遺体が本当に適切に利用されたのか常に目を光らせておくべきだ。そうしないと遺体が「目的外」に利用されて、爆弾でバラバラになる。
名護 千夏


プロフィール
 医療、看護、介護を得意分野としている。趣味はパソコンと読書という根っからの仕事中毒。インターネットや携帯電話で、人々のコミュニケーション方法が大きく変化していること、バイオテクノロジーなどの最先端技術の進歩によって、体についての意識も変わってきている。この動きを、いまの時代のニーズをすくいあげて伝えることを心がけている。

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