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腫瘍細胞への燃料供給を絶つ新しい治療法
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一部の癌(がん)細胞は栄養源として糖ではなく乳酸を優先的に利用しており、この知見が癌の新しい治療法につながる可能性があることをベルギーの研究グループが突き止めた。
細胞が糖(ブドウ糖)を燃焼させてエネルギーを作り出すプロセスには酸素が必要だが、腫瘍細胞の中には酸素が十分に供給されないものがあり(低酸素細胞、hypoxic cell)、この細胞が乳酸を産生する。研究を率いたLouvain大学医学部(ブリュッセル)のPierre Sonveaux氏によると、これまで癌細胞はブドウ糖を主な栄養源としていると考えられていたが、十分に酸素を供給されている細胞(酸素化細胞、oxygenated cell)は、乳酸を優先的に用いることによって低酸素細胞が作り出す老廃物を再利用しているのだという。
研究グループは、乳酸が酸素化細胞に入り込むためのゲートが、MTC1(モノカルボン酸輸送体1)と呼ばれる輸送蛋白(たんぱく)であることを突き止めた。同じ輸送蛋白は、筋肉内で乳酸がけいれんを起こすのを防いでいる。腫瘍が正常細胞の働きを勝手に真似るのはよくあることで、今回わかったのも、そういった正常細胞の機能を強奪して腫瘍細胞の成長に役立てている例の一つだという。
腫瘍を発生させたマウスを用いて、MTC1を阻害する薬剤により酸素化細胞が乳酸を利用するのを妨害すると、酸素化細胞はブドウ糖を利用するようになり、その結果、低酸素細胞がブドウ糖の不足によって死滅したという。このように腫瘍細胞の協調を乱すことにより、死滅させることの難しい癌細胞を破壊できる可能性があるとSonveaux氏は述べている。低酸素細胞は化学療法、放射線療法などあらゆる抗癌治療に特に耐性が強いが、MTC1を阻害したあとは、放射線療法でほとんどの癌細胞が死滅したという。この知見は、米医学誌「Journal of Clinical Investigation(臨床試験)」オンライン版に11月20日掲載された。
MCT1を阻害する薬剤は現在開発段階にあるが、臨床試験の実施は少なくとも数年先になるだろうとSonveaux氏はいう。米国癌協会(ACS)のMargaret K. Offermann博士は、この知見が癌治療の新たな戦略となる可能性はあるが、「どのくらい有効なものとなるかは、まだわからない」としている。
(HealthDay News 11月21日)
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