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iPS細胞は癌(がん)を引き起こさない
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iPS細胞(誘導多能性幹細胞、新型万能細胞)の医療への応用において、最も大きな懸念であった発癌(がん)性の問題が解決されたようだ。
昨年(2007年)11月、京都大学の山中伸弥教授のグループおよび米ウィスコンシン大学のグループはそれぞれ独自に、ヒトの皮膚細胞を再プログラムすることで、ES細胞(胚性幹細胞)に非常に近いiPS細胞を作製したことを報告した。ES細胞は、体のあらゆる細胞に分化する能力をもつ万能細胞であり、iPS細胞は、さまざまな疾患の治療に利用できると考えられる。しかし再プログラムのための遺伝子導入にレトロウイルス(細胞の癌化に関連するウイルス)を用いることから、iPS細胞が発癌性をもつ可能性が懸念されていた。
米科学誌「Science」オンライン版に2月14日掲載された山中教授らによる今回の研究は、マウスを用いたもの。成体マウスの肝臓および胃の上皮細胞に、レトロウイルスを用いて遺伝子を導入して再プログラムし、iPS細胞の作製に成功した。解析から、iPS細胞が確かに正常で成熟した成体細胞に由来することが裏付けられた。また、レトロウイルスが腫瘍を引き起こす染色体部位に組み込まれるわけではないことを突き止め、癌を引き起こす心配なしに、iPS細胞を移植に用いることができることを示した。
実際、iPS細胞をマウスの胚盤胞に注入し、キメラマウス(体の一部にiPS細胞由来の組織をもつマウス)を作製したところ、このマウスで6カ月間腫瘍の発生は認められなかった。しかし、「実際に医療に利用できるようになるまでには、さらに数年の基礎研究が必要だ」と山中氏は述べている。
米エール大学(コネチカット州)医学部助教授のHugh Taylor博士は、成体細胞から胚性幹細胞に近いものを作り出すことができれば、胚を作りそれを壊すという行為をせずにすみ、倫理的問題が解決されると思われるが、iPS細胞が完全に胚性幹細胞と同じ能力をもつのかどうかは不明だとしている。別の専門家は、今回の知見は大きな前進であるとしつつも、この細胞でヒトを治療するまでには、まだまだ多くの実験が必要だと述べている。
(HealthDay News 2月14日)
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