「寂しい」という感情を抱いたことがない、という人はおそらくいないでしょう。恋人に振られた、親しくしていた人が亡くなった、など生きていればいろいろなあるものです。
通常、人は時と共にこうした体験を自然と乗り越えてゆくものですが、近年、こうした寂しさが引き金となってうつ状態におちいる人が、特に中高年の女性の間で増えています。
その代表的なものが、子供の独立や結婚をきっかけに、生きがいを失ったような気持ちになり、空虚感に襲われる「空の巣症候群」や、家族同然にかわいがっていたペットの死をきっかけとして起こる「ペットロス症候群」などです。
どちらも大切なものを失ったという喪失感から生じるものですが、こういった症状におちいる人にはある共通の特徴があります。それは「自分以外の何かにすべての生きがいを注いでしまう」ということです。いうなれば、その対象を自分と一体化してとらえてしまうのです。強い愛情、といえば美しいようですが、大切だと思う心の裏には、その対象への極度の依存心が存在しています。
依存的で片寄った愛情は、自分自身をさいなむばかりでなく、場合によっては1人よがりな思い込みで周囲の人を傷つけてしまうこともあります。子供はいずれ巣立っていくもの、ペットは人間より寿命が短いもの、そういう心構えはきちんと持った上で「自立した愛情」を注ぐようにすることが大切なのです。
2001年7月9日
|