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甲状腺の病気〜その正しい知識 最終回
甲状腺の病気になったら

 この連載を通じて、甲状腺の病気を極端に怖がる必要はないということが、ご理解いただけましたか? その上で、甲状腺の病気の疑いがあるとき、あるいは実際にかかってしまったとき、どのように対処したらよいのかをまとめてみました。

 

首が腫れていたら甲状腺の病気なの?

 甲状腺に異常があるのでは…と感じるのは、首の前の部分が腫れてきたときです。ただし首の前が腫れる病気は、甲状腺以外にもいくつかあります。あごの下が腫大を起こす「顎下腺の腫大」、ピンポン玉のようなつるつるしたこぶが現れる「正中頸のう胞」、頚動脈の周りや鎖骨の上の「リンパ腺の腫大」などもあります。いずれも甲状腺の専門医が診ればその違いがわかります。甲状腺の病気は一般的には重症に至ることは少ないのですが、甲状腺癌のようになるべく早めに手を打った方がよいケースもありますので、首のしこりに気付いたときはすぐに病院へ行くことをおすすめします。

 

甲状腺の病気〜その検査と治療

まずは「触診」 イメージ ひとくちに甲状腺の病気といっても、病気の種類によって治療の方法は異なります。まずは病院できちんと検査を受け、病気の種類をはっきりさせなければなりません。

 問診、触診、血液検査、超音波検査などで病気の種類を特定し、その後は各病気の治療に必要な検査がおこなわれていきます。超音波検査は痛みも無く簡単に甲状腺の内部の状態がわかる有用な検査ですが、もちろん触診もおろそかにはできません(甲状腺に限った話ではありませんが)。

 バセドウ病のときは甲状腺機能を抑える薬の服用、甲状腺を焼く放射線ヨード療法、甲状腺を小さくする手術などがおこなわれます。橋本病(慢性甲状腺炎)で機能低下症の場合は、甲状腺ホルモンを服用してその不足分を補います。甲状腺がんの場合は手術や放射線療法、化学療法(抗がん剤を用いた治療)をおこないます。

 

治療は一生必要なの?

 一生涯の治療が必要かどうか−−これはケースバイケースです。甲状腺に異常があっても症状がなく、その機能も正常ならば治療の必要がないものもあります。単純性びまん性甲状腺腫や軽度の(機能低下症のない)橋本病の場合は、経過観察をするだけで特に治療はおこないません(第2回参照)。バセドウ病は治療に長期間を要することもありますが、あせらずに最初の2〜3年きちんと薬を内服した人の方が、結果的に薬を飲まなくてもよくなる(緩解)率が高くなります。

 甲状腺ホルモンの不足が著しい橋本病(慢性甲状腺炎)の場合は、一生、甲状腺ホルモン剤を飲み続ける必要があります。また癌の手術などで甲状腺を全部とってしまった場合は、甲状腺ホルモンが分泌できなくなりますので、やはり甲状腺ホルモン剤を飲み続けなければなりません。しかしこれは体内に不足している甲状腺ホルモンを補うということであって、言ってみれば、毎日食事をとってエネルギーを補うのと同じことなのです。毎日の食事を欠かさないように、甲状腺ホルモン剤を欠かさなければよいのです。一生薬を飲み続けるのか…と暗い気持ちになるより、甲状腺ホルモン剤をとることで毎日健康に過ごせるのだ、と気持ちを切り替えてみるのも1つの方法です。

 なおバセドウ病や橋本病(慢性甲状腺炎)の方は、ヨードを含む海草類・貝類をできるだけ制限する必要があります。バセドウ病の場合はホルモンの材料となるヨードを与えないという理由から、また、橋本病の場合は甲状腺機能低下症にならないようにする為です。


2002年11月25日

監修:高橋 樹(たてき内科クリニック 院長)
プロフィール
 たてき内科クリニック(http://www.tateki.gr.jp/)院長。日本内科学会認定内科専門医、関東中央病院登録医。糖尿病・甲状腺が専門ですが、消化器をはじめ内科全般にわたり総合診療をおこなっており、正確な認識と根気が必要な生活習慣病を、丁寧に指導しながら治療に臨んでいます。同院では、バリウム検査や腹部超音波検査を含めた人間ドッグも可能。
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