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アーユルヴェーダで
心身コントロールを修得! 第3回
アーユルヴェーダと食物

どんな食物でも立派な薬

どんな食物でも立派な薬 イメージ アーユルヴェーダでは、医薬と食物を同じに扱っています。「薬にならない植物はない。マントラにならない言葉はない。役に立たない人間はいない」というのがアーユルヴェーダの教えなのです。つまり、どのような食物でもその使い方次第で薬として立派に利用できるということです。今回は、食物が人体にどのように影響するのかを説明していきましょう。
 食物はまず口に入った段階で作用します。アーユルヴェーダでは食物には6つの味(甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味)があるとしています。この「味」が身体に作用するのです。これをラサと呼びます。甘味、酸味、塩味はヴァータを減らし(バランスのとれた状態にする)、カパを増やします。辛味、苦味、渋味はヴァータを増やし、カパを減らします。甘味、苦味、渋味はピッタを減らします。他の3つの味はピッタを増やします。現代医学でも味(酸味)だけの作用により、血圧上昇や心拍数が増加することがわかっています。
 口の次は胃です。食物が胃に入ると熱と冷の2つの作用を発揮します。これをヴィルーヤ(薬力源)といいます。冷性はカパやヴァータを増やし、熱性はピッタやアグニ(消化の火=消化する力)を高めます。
 食物が消化されて大腸にくると酸味、辛味、甘味をもちます。これをヴィパーカ(消化後の味)といいます。その場合も、酸味はピッタとカパを増やし、ヴァータを減らします。甘味はピッタとヴァータを減らします。辛味はピッタとヴァータを増やします。これは口の段階のラサ(6つの味)と同じ原理です。

食事のとりかたのポイント

 アーユルヴェーダは体質や体調といった個人差までカバーできると考えています。食事のとり方に関していろいろなことが一般ではいわれています。以下にアーユルヴェーダにおける食事による健康法のポイントをあげてみましょう。
  1. 食事は満足感と軽快感を得るもの
     食事の健康法には「これを食べよう、これはいけない」といった論法がありますが、アーユルヴェーダはこの発想ではありません。何を食べるかより、どのように食べるかに重きを置きます。食事の最終的な目的は満足感と軽快感を得ることです。
  2. 食事は瞑想である
     食事は瞑想の一種と考えます。そのため食事中は座って話をしないで集中します。ですから「立ち食いそば」は好ましくありません。そして落ち着いてよくかんで食べます。あせり、イライラ、悲しみを感じながら、食事をすることは消化を阻害することになるのです。
  3. 食後は消化を見届ける
      食後はすぐに動かないこと。座ったまま3〜5分はじっとしていましょう。
  4. 規則的な食事
     アーユルヴェーダでいう規則的な食事とは「お腹が減ったら必ず次の食事をとる」ということを意味します。その時々に応じたアグニ(消化の火)に応じた食事こそが規則的な食事なのです。お腹がすいていないのに、時間が来たら必ず食べるということではありません。
  5. 適量を食べる
     「腹八分目に医者いらず」とは古今東西いわれていることです。アグニ(消化の火)に応じて食事をしましょう。
  6. 6種類の味をとる
     1日の中で、バランスよく6種類の味をとりましょう。これはドーシャのバランスに大きく関係します。
  7. できたてでおいしく温かいものを食べる
     適当に油分を含んだ、できたてで温かく十分調理された食物が理想です。油抜きダイエットは現代医学的に考えても脂溶性ビタミンの吸収を落とすため、おすすめしません。実際、油抜きダイエットをすすめていた料理研究家が若くして亡くなられたことは、記憶に新しいことです。
  8. 料理人の気持ち
     愛情を持って作られた食事はおいしく、消化の負担になりません。また楽しく食べられるため、消化の助けにもなります。
  9. 消化促進剤の活用
     アーユルヴェーダのすすめる消化促進剤は「お湯」です。ただし大量に飲んではだめです。特に食事の直前に大量に飲むと消化を弱めます。
  10. 身土不二
     自分の住んでいる2キロ以内で獲れるものを食べることが大切ですが、現代の日本ではかなり難しいといえるでしょう。私たちが守らなければならないのは、排泄を阻害せず、薬剤で汚れていない食物を食べることです。
  11. 体質や体調に応じた食物
      体質や体調によってドーシャのバランスをとることです。体質別にのちほど紹介します。
  12. 食べ合わせ
     アーユルヴェーダでは、牛乳と魚、肉、酸っぱい果実などを同時にとることは、悪い食べ合わせです。魚、肉は基本的にどの料理にも使われますし、食後には酸っぱい果実もデザートにつくことが多いものです。ですから、アーユルヴェーダでは牛乳を食事中にはとりません。さらに、でんぷんを含む食物と卵、ヨーグルトと酸っぱいフルーツなども悪い食べ合わせの代表です。これらの食べ合わせは、消化の状態を悪くします。
  13. 正しい知性をはぐくむ
     頭で考えるのではなく、自然にその食事を選べる「内なる知性」を磨くことが大切であるとアーユルヴェーダは考えます。食べたいときに食べたいものを食べられて、しかもそれが健康に結びつくという、自然とわき起こる「知性」を育てましょう。
  14. 食生活はゆっくり変える
     アーユルヴェーダの食事がよいからといって、いままで肉食だった人が急に菜食主義になることをアーユルヴェーダは逆に禁じています。1〜2週間ほどかけて徐々に食生活を変化させて下さい。
 以上の14のポイントを理解していただいた上で、体質ごとにおすすめの食事をご紹介しましょう。ただし、おすすめだからといって、そればかり食べることはアーユルヴェーダの考え方に反しますよ。
  • ヴァータ体質
     天然の甘いもの、酸っぱいもの、塩気のあるものを意識して食べ、辛いものや苦味、渋味のものはひかえめに。肉や魚類、穀物、糖分や果実、乳製品を消化力に応じて少量ずつとるのがよいでしょう。揚げ物や鍋物など、カロリーが高めで温かいものを食べると、身体の冷えが解消されます。
  • ピッタ体質
     天然の甘いもの、苦味、渋味のあるものは多めに、辛いもの、酸っぱいもの、塩気の強いものはひかえめに。緑黄色野菜や果物、豆類、穀物、お茶、乳製品(ただしチーズやヨーグルトは避ける)がよいでしょう。過食になりがちなので就寝3時間前には飲食を避けること。ただし白湯は構いません。
  • カパ体質
      辛いもの、苦味、渋味は適量ならよく、甘いものや塩気の強いもの、酸っぱいものはひかえめにしましょう。脂っこいものや乳製品、糖分はひかえ、穀物より豆類や緑黄色野菜を意識してとりましょう。朝食と夕食はひかえめ、昼食はスパイシーなものを適量とることがおすすめです。

次回は「アーユルヴェーダとハーブ」です。


2001年2月19日

※この原稿は医師が監修しています。
記事の無断転用を禁じます
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