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国内で手術・治療ができる病院は2カ所
つい先日、香港に住む10歳の女の子が「エコノミークラス症候群」にかかっていたことがわかった。このケースでは、英国から香港まで13時間あまり、座席を倒さずに眠っていたために血栓ができ、右足の大腿部の静脈に詰まり、足が2倍に膨れあがってしまったという。
「エコノミークラス症候群」は、空気が乾燥した飛行機内で水分をとらず、脱水状態に近くなると起きやすいといわれている。狭い座席に圧迫されたことで、下肢や骨盤などの深部静脈に小さな血の固まり(=血栓:血小板や白血球、赤血球、血液凝固に重要な役割を果たすタンパク質のフィブリンなどのかたまり)ができる。それが、立ち上がった際に肺に達して血管が詰まり、呼吸困難や循環障害、心拍数の増加、胸の痛み、意識消失などを招く。
「エコノミークラス症候群」としておなじみになったこの症状は「肺血栓塞栓症」という。長時間狭い空間に閉じ込められることが発症の原因とみられている。また、手術後などに生じた血栓が肺に達して突然死するケースも少なくない。そのため、訴訟の要因にもなっている。慢性型は、発症原因は不明だが、血液が固まりやすい病気や免疫の病気である抗リン脂質抗体症候群などに発生しやすいとみられている。男性と女性では1:1.6と女性のほうに発生する比率が高く、患者の平均年齢は50歳から60歳が中心である。「肺血栓塞栓症」の治療は、平地でも息切れを覚えるほどの自覚症状が強い場合や、血栓が肺動脈の中枢にある場合には手術で血栓を取り除くのが一般的である。自覚症状が軽い場合には、ワーファリン(抗凝固剤)を一生飲み続ける。また、血液中の酸素濃度が60com以下の低酸素状態だと在宅酸素療法を施すことになる。
日本でこのような病気の治療・手術ができる病院は、関東では千葉大学医学部付属病院、関西では国立循環器センターである。そのため千葉大学付属病院では、北海道から東海地方までを引き受け、それ以西は国立循環器センターが引き受けている。もし、何らかの健康診断を受けて、レントゲン撮影でも異常がなくても、息切れがする、もしくは下肢がはれる症状のある人は、「肺血栓塞栓症」の疑いがあると思われるので、専門病院での診察をおすすめしたい。
2001年5月28日
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