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  定期健診や人間ドックの検査データをチェックしておこう 第7回
  血液生化学検査(その3)

肝臓や腎臓の機能検査に欠かせない血清たんぱく総量

 「肝心要」という言葉があるように、肝臓は心臓と並んで生命を維持する上で極めて重要な働きをしています。その主なものとして(1)体を構成するたんぱく質をアミノ酸から合成する、(2)グリコーゲンや脂肪などを貯蔵し、必要に応じて血液中に出す、(3)腸内の消化・吸収を助ける胆汁をつくる、(4)アルコールやアンモニアなどの有害物質を分解、解毒する、などがあげられます。肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、多少無理をしても働き続けます。そのため、気づかないうちに肝硬変など重篤な病気に進んでいるケースが少なくありません。それだけに健康診断で肝臓の機能を調べるのは、健康を維持する上で重要です。
 血清の中には健康な成人で6.5〜8.2g/dlのたんぱく質が含まれ、その主なものはアルブミンとグロブリンです。アルブミンはそのほとんどが肝細胞で合成され、総たんぱくの半分以上(4.0〜5.0g/dl)を占めています。肝臓の働きが低下すると、アルブミンの合成量が減り、血液中のアルブミン量も減少し、併せて血清たんぱく総量も低値になります。また、腎臓のろ過機能に異常を生じるネフローゼの場合、血清たんぱくが尿に漏れ出るため、血清たんぱく総量は低値になります。

血清中のたんぱく質を混濁させて肝臓の機能をチェック

 もう一つの血清たんぱく検査に、血清膠質反応があります。これは血清に試薬を加えてたんぱく質を凝固させ、その混濁の程度から肝臓の状態を測るもので、代表的な検査法としてチモール混濁試験(TTT)と硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)があります。
 肝硬変になるとTTT、ZTTともに著しく高値になります。急性肝炎ではTTTは高値を示しますが、ZTTはそれほど変化しません。肝臓の機能が改善されるに伴い、TTTやZTTは正常値に近づいていきます。そのため、血清膠質反応は治癒経過の観察にもしばしば利用されます。
 肝臓病以外では、高脂血症の場合も急性肝炎と同じような変化、すなわち、TTTは上昇、ZTTはあまり変化はないという結果が出ることがあります。

肝臓障害で胆汁の流れが阻害されるとビリルビンが増加

 赤血球は約120日たつと徐々に壊され、間接ビリルビンという黄色い色素が生成されます。これはアルブミンと結合して肝臓に運ばれ、肝臓で処理されて直接ビリルビンになり、胆汁の成分となって胆嚢から十二指腸へと排出されます。
 肝臓に障害があったり、胆管の閉塞で胆汁の流れが滞ったりすると、ビリルビンが血液中に増えます。このため、肝臓病になると、皮膚や白目が黄色くなる黄疸が起こるのです。直接、間接の両ビリルビンを合計したものを血清総ビリルビンといい、0.2〜1.0mg/dlが正常値とされます。肝炎や肝がん、胆道がんや胆石などによって、胆汁の流れが妨げられると、直接ビリルビンが血液中に逆流するため高値になります。赤血球が壊れた場合は、間接ビリルビンだけが増加します。

膵臓の機能がわかる血清アミラーゼ

 膵臓の機能を調べる代表的な検査に血清アミラーゼがあります。アミラーゼはでんぷんを分解する酵素で、主に膵臓でつくられます。そのため、膵臓に障害が生じると、壊れた細胞からアミラーゼが血液中に漏れ出し、その濃度が高くなります。この変化は早期におこり病勢をよく反映するので、膵疾患のスクリーニング、早期診断、経過観察に役立ちます。正常値は60〜200IU/l。異常高値では、急性膵炎、耳下腺炎などが考えられます。血清アミラーゼは膵臓の病気の場合だけでなく、肝臓病や卵管炎、肺がんなどのときも高値になります。低値を示すものは高度な糖尿病や肝硬変などです。
 なお、血中のアミラーゼは尿中にも排泄されるので、膵炎が疑われる場合は、尿中のアミラーゼも測定されます。

マクラーガン単位
 チモール混濁試験(TTT)に用いる単位です。1単位=0.01g/dlの蛋白溶液の白濁液です。
 人工的に標準となる液を作成・その吸光度を測定し、それを基準として検査材料の濃度を求めます。
 現在ではマクラーガン単位は使われることが少なく、クンケル単位をもちいます。
2クンケル単位=1マクラーガン単位です。
クンケル単位
 硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)、チモール混濁試験に用いる単位です。
 1.15g/dl塩化バリウム溶液3.0mlを0.2N硫酸溶液で正確に100mlとし、この懸濁液を650〜660nmの波長の光をあて、その吸光度を20クンケル単位とします。

*マクラーガン、クンケルともに人名です。

*生化学検査の測定原理について
 溶液の中に含まれている物質が多い濃度の濃い液に光をあてると、溶液中の物質に光があたり、透過光が減光します。この光の減り具合は、濃度と反比例します。すなわち、低い濃度の溶液なら透過光はあまり減光しませんが、高い濃度の溶液なら透過光はかなり減光するということです。その光の強さから濃度を測定するのです。
 TTTやZTTでは、上記のような標準液を作成して、どれくらい光を吸い取ったのかが数値として表される吸光度の値から、その検査材料の濃度を測定します。
 標準液の濃度の基準は、20クンケル単位です。

IU/lについて
IU/lは酵素量を表す単位です。
IUは「国際単位」という意味です。IUは「毎分1マイクロモルの基質を変化させる酵素量」と定義されています。
mE/lについて
電解質の量を表示する単位として多くの場合、ミリ当量(mEq)を用います。
1Eq=1原子量/原子価です。
生体内の電解質は絶対量として少ないので、当量の1/1000のmEqが使われています。
(例)1mEqのNa(ナトリウム)   23/1=23mgのNaのこと
   1mEqのCa(カルシウム)   40/2=20mgのCaのこと
正常値
TTT 4U以下  Uはunit(単位)
ZTT 2〜12U
血清総ビリルビン 0.2〜1.0mg/dl
アミラーゼ 60〜200IU/l

*注 検査の正常値・基準値は絶対的なものはありません。記事中にあげたデータは臨床で使われているものの一例です。


2001年9月17日

※この原稿は臨床検査技師が監修しています。

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