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●免疫の司令塔を破壊し、しいては免疫システムを崩壊させる
HIVウイルス
免疫とは、体に侵入した「異物」を退治しようとするしくみです。
免疫を担う細胞は、まとめて「白血球」とよばれていますが、それは、下記のようにいくつもの種類にわけられます。
【免疫系の細胞(白血球)】
顆粒球:好中球・好酸球・好塩基球
単球:マクロファージ・樹状細胞
リンパ球:T細胞・B細胞・ナチュラルキラー細胞(NK)細胞
免疫細胞にはそれぞれ役割があり、それらの連携プレーで病原体と戦っています。
リンパ球のうちのひとつに、T細胞というものがありますが、このT細胞はさらに3つに分けられ、そのうちのひとつが「ヘルパーT細胞」です。ヘルパーT細胞は、自分の体にとって「異物」が侵入したとき、他の細胞にその「異物」と戦うよう指示をする司令塔のような役割をもっています。もしも、部隊をまとめる武将がやられてしまったら、その部隊はどうなってしまうでしょうか。統率が乱れ、敵にやられてしまうことでしょう。エイズを引き起こすHIVウイルスは、主にこのヘルパーT細胞にとりつき、その細胞内で増殖し、次々と新しいヘルパーT細胞に感染していきます。そうするうち、だんだんと体内のヘルパーT細胞の数は減少していき、司令塔を失った免疫システムは崩壊していくのです。
●エイズ発症後に起こる主な合併症
免疫の働きがどんどん低下していくと、健康なときはかからなかった、さまざまな病気にかかってしまいます。例をあげると、「カリニ肺炎」「サイトメガロウイルス感染症」「食道カンジタ症」などの合併症です。これらの合併症が起こったときに、「エイズ(後天性免疫不全症候群)」と診断されます。
- <<合併症の例 >>
- カリニ肺炎
- カポジ肉腫
- サイトメガロウイルス感染症
- 食道カンジダ症
- サルモネラ菌血症
- カンジダ口内炎
- ヘルペス感染症
- HIV脳症
- クリプトコッカス髄膜炎
- など
<コラム1>HIVとAIDSって、同じモノ?
「HIV」、「AIDS(エイズ)」とは同じものなのか違うのか、その違いはなんなのか、混乱している人もいるでしょう。
HIVとは、ヒト免疫不全ウイルスのことで、このウイルスに感染すると「HIV感染者」とよばれます。この段階では、まだ「AIDS患者」とはいいません。HIVに感染すると、徐々に免疫機能が破壊されていきますが、それに従い、健康なときにはかからないような、日和見感染症とよばれるさまざまな感染症にかかるようになってきます。HIVで免疫機能が低下した場合に起こる日和見感染症は、厚生労働省により指定されており、それらのうちいずれかに感染した場合に、AIDSと診断されます。
<コラム2>意外と知られていないエイズの実態〜痴呆の合併
HIVが引き起こす病気は、実は免疫不全だけではありません。HIVは脳内にも入り込んで、組織を破壊し、痴呆状態を引き起こします。なぜHIVの感染に伴い痴呆症が起きるのかそのプロセスの全貌はまだわかっていませんが、エイズを発症した患者さんはかなりの割合で痴呆の合併症を起こすことが報告されています。
【おすすめURL】 もっとエイズを詳しく知りたい人に…
★エイズ予防情報ネット:http://api-net.jfap.or.jp/
*自治体エイズ相談・検査窓口一覧情報、エイズ拠点病院情報付き。「予防関連資料室」のエイズQ&Aが、コンパクトにまとめられており、わかりやすい。
★国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター:http://www.acc.go.jp/accmenu.htm
*「一般・患者さん向け」のところの、「HIV患者読本」にて、治療や定期検診、薬などについてなどがひととおりわかります。
<参考資料>
- 『エイズ 発見から治療最前線まで』 医学博士 畑中正一〔著〕 共立出版
- 『現代免疫物語』 医学博士 岸本忠三・日本経済新聞社科学技術担当編集委員 中嶋彰〔著〕 日本経済新聞社
- 『免疫のしくみ』 東京理科大学生命科学研究所教授 阿部良〔監修〕 PHP研究所
- 『感染症ファイル』 国立感染症研究所 感染症センター〔協力〕 竹内書店新社
- 『殺人病ファイル』 21世紀感染症研究会〔著〕 日経BP社
- 免疫力を高めるコツ50 ホリスティック京北病院院長 小林常雄〔著〕
- NHKきょうの健康 2002年3月
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2002年5月20日
2002年6月10日更新
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