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院内感染を防ぐには、病院内や器具の消毒、医療従事者の手洗いの励行といったことが必要不可欠です。ところがその費用は病院経営を圧迫するほど大きなものとなってしまうという報告があります。今回は院内感染とお金の密接な関係を検証してみましょう。
院内感染対策にはお金がかかる
昨年セラチア菌の院内感染で3名の犠牲者を出した大阪の耳原総合病院では、再発を防ぐため徹底的な院内感染対策をとりました。
輸液システムの変更、マスク、手袋、ペーパータオル、消毒薬の購入に伴う経費、さらに手洗いの徹底によるガス・水道代の増加で、前年度は2600万円程度だった耳原総合病院の院内感染対策費は、3倍の7600万円にまでふくれあがったといいます。これだけのコストをかけられる病院は、残念ですが全体の中ではまだまだ少数派。経営を考えて、ペーパータオルの購入すら躊躇している病院の方が多いという声もあります。
診療報酬と院内感染対策費
厚生労働省でも感染症対策をおこなうようそれぞれの病院に求めており、診療報酬として感染対策費を出しています。しかしその費用はごくわずか。耳原総合病院では徹底的な感染対策を行った際、診療報酬の11.1倍の費用がかかったそうです。院内感染対策への医療者側の意識が高まっても、経済的な問題がそれをはばんでしまうという現実がここにあるのです。国の経済的な支援は、院内感染を減らしていく上で非常に大切なことだといえるでしょう。
国のおこなう院内感染対策の矛盾
厚生労働省は、一定の基準を満たしていない病院には診療報酬を減額するという措置をとっています。しかしこれが思わぬ問題になってしまった事例もあるのです。
東京の聖路加国際病院は感染症対策の最も進んだ医療機関という定評があります。病室はほとんどが洗面台付きの個室で、液体石鹸と紙タオルが常備されています。院内感染対策の専門ナースを配置して、医療者の手洗いも徹底されています。手洗いが十分なため、国の基準にある消毒薬は不要と判断して設置しませんでした。ところが国は「消毒薬を置いていないのは不備である」として院内感染対策費を減額してしまったのです。もともと消毒薬は手洗いが不十分な病院に考慮して、設置を求めているもの。聖路加国際病院のように手洗いが徹底されている病院には不必要なものだということです。ここに感染対策の最先端にある病院が、院内感染対策費をもらえないというおかしな事態が起きてしまったのです。
2003年の4月よりサラリーマンの医療費を3割に上げるという政府与党の方針について、現在さまざまな議論がされていますが、院内感染対策の例からみても、上記のようなコストの問題は避けられません。
患者としては、医療費はなるべく安く済むほうがありがたいのはいうまでもありませんが、約7割もの健康保険が赤字といわれる昨今、質の高い医療サービスを求めるなら患者にもそれなりの負担がかかるというアメリカ型の認識が、日本でも今後必要になってくるのかもしれません。
<参考資料>
・民医連新聞2001年9月11日記事
・共同通信2001年8月29日記事
・朝日新聞1999年11月14日記事
・全日本民医連編集 (株)保健医療研究所発行
「いつでも元気」 2001年10月 NO.120記事
・共同通信2002年2月11日記事
2002年3月18日
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