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農水省は大丈夫というけれど…
牛由来の食材はすべて危険だと思っていませんか? 狂牛病の病原体とされる異常プリオンは、牛の体の組織全てからではなく、脳、脊髄、眼、回腸遠位部(小腸の最後の部分)の4部位で検出されているのです。厚生労働省では、昨年9月より、すべての牛についてこの4部位を焼却処分するよう指示していますから、現在危険な部位の牛肉が市場に出回ることはないとされています(第2回参照)。
では、牛肉と並んで、もうひとつ牛由来の大切な食材である「牛乳」についてはどうなのでしょう?
WHO(世界保健機構)は、たとえ狂牛病に感染した牛からとれた牛乳、そしてそれを原料にした乳製品を食べても安全、としています。日本の農林水産省はこの見解を採用して、日本の消費者にも安全とアピールしました。
その根拠となるデータは、1995年にイギリスで実施された研究結果です。狂牛病に感染している牛の乳を、マウスに与えて300日以上観察したところ、275匹のマウスのいずれからも狂牛病の症状は出なかった、ということです。
しかし、動物試験の結果と人間を対象にした試験を単純に比較して安全だといわれて安心できる人は多くはないかもしれません。
感染する確率は「限りなくゼロに近い」?
いま市販されている牛乳を飲んでも絶対に、つまり100%狂牛病に感染しないと言い切れるのでしょうか。
日本乳業協会のホームページではこう説明しています。
「科学では絶対という結論は出せません。限りなくゼロに近いということです」
人間よりも狂牛病に感染しやすいといわれているマウスに、狂牛病の生乳を脳に直接注射しても感染しないことから安全と判断されています。脳に直接注射することは、飲んだときよりも細胞に対する感度が10万倍高いので、人間に感染する確率は「限りなくゼロ」というわけです。
科学的なデータをとり続ける努力は研究者らがおこなっています。牛乳から狂牛病に感染する確率が高いという結果が出れば、狂牛病に対する不安は非常に高まってしまうでしょう。危険なデータが出たときどうすればいいのか、消費者として自衛の気持ちを忘れず、狂牛病に関するニュースに敏感になることが大切です。
まだ完全には解明されていない狂牛病
イギリスでは、酪農家で子牛が生まれると、母牛の乳は商品として販売されるので、子牛に母乳を飲ませなかったのです。かわりに人工乳を与えていたのですが、その中に肉骨粉が混ぜられていました。だからイギリスで狂牛病に感染した牛に、乳牛(ホルスタイン)が多いという現象が出てきました。いま、日本で肉骨粉を混ぜた人工乳を子牛に与えている酪農家はいません。その点は安心してもいいでしょう。
しかし消費者の立場からいえば、牛乳の安全性が完全に保証されたとはいえないと思います。また同時に、狂牛病はまだ完全に解明された病気ではない、という事実もふまえておかなければならないでしょう。
日本は、牛乳が安全であるという根拠を海外のデータに頼っていますが、日本国内でも追試試験をおこなって消費者へ確かな安全性をアピールするべきだと思います。
【狂牛病という呼び方について】
狂牛病はイギリスの農民がつけた名前で、正式な病名ではありません。現在、 世界的には牛海綿状脳症(BSE=Bovine
Spongiform Encephalopathy)と よんでいます。
次回は「牛の成分からできた化粧品の安全性は?」です。
2002年2月4日
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