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ファーストフード店の状況
牛肉を原料にしたファーストフード産業は、狂牛病騒動によって大きな打撃を受けました。ハンバーガーチェーン店、牛丼チェーン店はいずれも前年と比べて収益ダウンになっています。
各社は消費者の牛肉不安を解消するために、積極的に自社で使っている牛肉の安全性をPRしはじめました。
ハンバーガーは牛肉100%でつくられています。その主な原産国はアメリカとオーストラリアで、全面的に輸入に頼って経営してきました。国産牛を使わない理由は、均質な牛肉を大量に仕入れるため。ファーストフードは数百円で気軽に買えることが特徴だからです。
ファーストフード各社は牛肉を、安く、大量に仕入れることに加えて、その安全性をアピールしなければならなくなりました。各社がどのようなPR努力をしているのか、その一部をご紹介しましょう。
モスバーガーは自社ホームページでオーストラリアのタスマニア産の牛肉を使っているとPRしています。オーストラリアは、この連載の第3回で述べたように、早くから狂牛病対策をとっており、狂牛病に感染した牛がいないとされる安全度が最も高い国です。オーストラリアの南のタスマニア島は大自然が残る地域。ここで牛にストレスを与えずに、自由に運動をさせてできる牛肉だから安全でおいしいと消費者に伝えています。
日本マクドナルドもタスマニアの牛肉を使っているとPRしています。店頭にも、牛肉の安全性を訴えるパンフレットが置かれており、消費者の不安を解消するための努力を惜しんでいません。
牛丼チェーン大手、吉野屋も輸入牛肉を食材に使っています。99%がアメリカ、1%がオーストラリアの牛肉です。
アメリカの牛肉の安全性は?
アメリカの牛肉について狂牛病の危険度はどうなっているのでしょうか。EU委員会が発表した『狂牛病発生危険性リスト』では、アメリカは「レベル2」の評価です。最も安全性が高いとされる「レベル1」はオーストラリア、その次に安全というわけです。
アメリカは89年に、狂牛病が発生した国からの肉骨粉の輸入禁止をしています。さらに96年にアメリカの食肉業界が肉骨粉の利用を中止。97年にはアメリカ政府も肉骨粉の利用を法的に禁止しました。しかし、不安がないわけではありません。アメリカは狂牛病の検査を一部でしかおこなっておらず、イギリスのように全頭検査をしていないからです。
注目の的 オーストラリア、ニュージーランド産牛肉
いま最も安全な牛肉原産国、オーストラリア、ニュージーランドはしばらく世界中の食肉産業、肉関連ファーストフードチェーン会社から注目の的となると思います。しかし、人気の高い、つまり需要が高い商品の値段が上がっていくことは市場経済の常識です。ファーストフード会社が、その安い価格を維持するためには、もっと幅広く世界中から安全な牛肉を仕入れることが必要となります。
狂牛病の潜伏期間は十数年と言われています。いまから牛を育てて、狂牛病のリスクのない牛が食肉となるまでには数年待たなければならないでしょう。それまでの間、私たち消費者は、牛肉の原産地に気を付けながら賢い買い物をしなければならないと思います。
【狂牛病という呼び方について】
狂牛病はイギリスの農民がつけた名前で、正式な病名ではありません。現在、 世界的には牛海綿状脳症(BSE=Bovine
Spongiform Encephalopathy)と よんでいます。
次回は「乳製品は安全なの?」です。
2002年1月28日
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