狂牛病は1986年イギリスでみつかった病気です。発見からまだ15年しかたっていない新しい病気で、1980年頃にアメリカで見つかったエイズのように、どんなふうに感染が広がるのだろうかという不安が、正確な情報よりも先行していると思われます。
しかし、欧州において狂牛病の実態はかなりわかってきました。その事実を知ることで無用な不安を取り除くことができるでしょう。
どんな病気?
狂牛病はイギリスの農民がつけた名前で、正式な病名ではありません。現在、世界的には牛海綿状脳症(BSE=Bovine
Spongiform Encephalopathy)とよんでいます。病名からわかるように、スポンジのように脳に穴があいてしまう病気です。人間でいうと、脳が萎縮するアルツハイマー痴呆の患者さんの脳のようになってしまうというわけです。
狂牛病を発症すると、脳の中枢神経がおかされて、立てなくなります。発病から2週間から6ヶ月ほどで死に至ります。
原因は?
狂牛病の原因は「プリオン」というたんぱく質だと言われています。プリオンは正常な神経細胞に存在するありふれたたんぱく質ですが、その中に「異常プリオン」が入り込むと、まわりの正常なプリオンを異常プリオンに変えてしまいます。そこで中枢神経に障害があられ、やがては脳がスポンジ状になってしまうのです。
問題は異常プリオンがどこから来たか、といことです。肉骨粉という動物性飼料が感染源として疑われています。肉骨粉とは、食肉加工された後に、残された牛の内臓や骨などをミキサーにかけて乾燥させ、脂肪分を取り除いた粉末飼料です。牛は草食動物ですが、この肉骨粉を普通の飼料に混ぜることで、栄養価の高い牛乳ができる、成長が早くなりすぐに食肉加工できる、というメリットがあります。ほとんどの家畜業者は肉骨粉を使って牛を育てていました。
日本では2001年9月にはじめて狂牛病の牛が発見され、欧州からの肉骨粉の輸入をすべて禁止しました。
人間がかかるとどうなるの?
狂牛病が恐ろしいのは狂牛病になった牛の肉を食べた人間に感染する可能性があるからです。人間に感染したときは、狂牛病とはいいません。医学的には「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」といいます。
狂牛病「先進国」のイギリスでは、2001年9月までに、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者は106人出ています。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の潜伏期間は10年から数十年といわれていますので、感染しても自覚症状はありません。記憶障害、うつ状態など、痴呆と同じような症状が出ることが特徴です。イギリスでは30代の患者が多く出ていますが、年代によって発病しやすさがあるのかどうかはまだ解明されていません。また、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は空気や接触によって感染することはありません。
次回から、牛肉を食べることで感染する病気として狂牛病をとらえ、自己防衛するために必要な知識をまとめていきます。
次回は「焼肉店での注文法について」の予定です。
2002年1月7日
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