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知って得する糖尿病とくすりのお話

40歳以上の10人に1人は
糖尿病という驚くべき事実

 「この世をば我が世とぞ思う」と豪語した藤原道長は糖尿病をわずらっていたとか。糖尿病は、糖尿病になりやすい体質に、過食や肥満、運動不足などが重なったときに発症しやすいといわれています。道長の一族も飲水病(当時の糖尿病の呼び方)が多かったといいますから、道長もその体質を引き継いでいると思われます。また、権力をほしいままにして毎日おいしいものをたらふく食べていたでしょうから、糖尿病になったとしても不思議ではないといえるでしょう。

 目を現代に移すと、糖尿病はもはや権力者や貴族たちだけの病気ではなくなっています。最近の厚生省の調査によると、糖尿病と強く疑われる人が約690 万人、糖尿病の可能性を否定できない糖尿病予備軍まで含めると、実に1370 万人もいることがわかりました。年代別にみると、60歳代の男性が最も多く、次いで70歳代の女性となっていて、40歳以上のほぼ10人に1人が糖尿病であるという結果 が出ています。しかも年々増加傾向にあり、また、子どもたちの間にも糖尿病が増えつつあるといわれています。糖尿病はまさに国民病といってもよいでしょう。


糖尿病の薬は飲み始めたら
一生飲み続けないといけないの?

 糖尿病はご存じのとおり、血液中のブドウ糖の濃度が高くなる病気をいいますが、大きく2つに分類されます。

 通常、食事をした後、血液中のブドウ糖が増えますが、健康であれば、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されて、血糖値を正常域に戻そうとします。このインスリンが何らかの理由で分泌されないために糖尿病になる場合を1型インスリン依存型)といいます。

イメージイラスト もうひとつは2型(インスリン非依存型)糖尿病で、インスリンは分泌されるけれども、量 が不足していたり、インスリンの効き方が不十分だったりして起こるケースです。糖尿病患者の大多数はこのタイプです。

 1型糖尿病の治療はインスリンを注射して体外から補うしかありません。一方、2 型の場合は、運動療法と食事療法が基本となり、それでも効果が現れなかったりしたときに薬を用いる方法が検討されます。

 ところが2型の患者さんの中には、「薬」と聞くと、「一生飲み続けないといけない」と信じ込んで必要な時期になっても薬での治療を受けない人がいます。しかし、実際には薬を飲んでいたけれども改善し運動療法と食事療法だけですむようになったり、インスリン注射から飲み薬に切り替える人がいるなどさまざまで、一生薬から離れられないというわけではありません。

 その背景として、以前はぎりぎりまで薬を用いないことが多かったのですが、数年前に低血糖を起こす危険性の少ない薬が開発されてからは、早い段階から薬を用いるようになったことがあげられます。といっても、糖尿病になったらすぐに薬に頼るということではなく、あくまでも運動療法と食事療法が大きな柱であることには変わりありません。


薬を正しく飲めば副作用の
危険はかなり避けられる

 糖尿病の薬でもう1つ大きな心配が副作用です。よく知られているのが低血糖ですが、服用量 が多すぎたり、食事時間がずれたり、下痢が続いたり、空腹時に運動をしたといったときに起こりやすいので、それらを避けるとともに、万一起こったときのために砂糖や砂糖入り飲料、砂糖分の多いキャンディなどを携帯しておけば、それほど問題は起こりません。高齢者の場合は、長時間作用の続くタイプの薬は低血糖を起こしやすいので避けます。

 また、ビグアナイド剤という薬は大量に飲むと血中に乳酸がたまり、昏睡を引き起こす乳酸アシドーシスが引き起こされることがあります。薬の効果をきちんと得たり副作用を避けるためには、服用量や飲む時間を厳守することは基本です。

 インスリン抵抗性改善薬では肝障害を引き起こす危険性があるので、1か月に1度肝機能検査を受けましょう。さらに、市販薬の風邪薬や胃腸薬なども含め、ほかの薬を飲むときには相互作用に注意しなければなりません。

 いずれにしても、服用する際の注意事項を医師や薬剤師から告げられるはずですので、必ず守るようにしましょう。

 もし、何らかの副作用が出たら勝手に服用をやめたりせずに、必ず医師に相談してください。これらのことは糖尿病の薬に限らず、ほかの薬の場合も同様です。

※この原稿は医師が監修しています。


2000年9月25日

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