|
人口の1割以上が花粉症!?
毎年、日本気象協会では「今年の冬は暖冬」「今年の夏は冷夏」などとさまざまな予測を出しますが、そうした中でも気になるのが「花粉の飛散量予測」ではないでしょうか。花粉量の予測でカギになるのは前年の夏の天候です。この時期に花粉症を引き起こすスギやヒノキの雄花が成長します。日照時間が多く気温が高いと雄花がたくさんつき、雨天が多く気温が低いと少なくなります。「去年は冷夏だったから、今年はそれほど多く飛散しないんだな」とほっと胸をなでおろしている方も多いかもしれません。といっても、花粉症の症状が全く出ないとは考えられないので、やはり花粉症対策は万全にしておきたいものです。
ところで、今花粉症に悩まされている人はどのくらいいるのでしょうか。正確な数字はわかっていませんが、日本の全人口の10〜15%、即ち1000万〜2000万人くらいが花粉症だといわれています。しかも、以前は20〜30歳代を中心に発症していたのですが、最近では高齢者や子どもにも増えているといわれています。花粉症はもはや国民病のひとつです。
ある日、突然始まる花粉症
これほど多い花粉症、いったいどのようなメカニズムで起こるのでしょう。
私たちは呼吸をしていますが、このとき空中に浮遊している花粉も一緒に吸い込んでしまいます。鼻の中に入った花粉は鼻の粘膜にくっつくと、中にあるアレルゲン(抗原)となるタンパク質が溶け出し、粘膜に入り込みます。すると、体に異物のものが侵入したことに気づいたマクロファージという細胞が、花粉を食べて始末しようと動き出します。同時に、何を食べたかをリンパ球T細胞に報告します。マクロファージから連絡を受けたリンパ球T細胞は、今度はその情報をリンパ球B細胞に告げます。リンパ球B細胞はアレルゲンをやっつけようと、臨戦態勢に入り、抵抗物質であるIgE抗体を作り出します。IgE抗体は体全体に広がりますが、特に鼻の粘膜などに集まり、肥満細胞と呼ばれる細胞の表面に付着します。
長年、花粉を吸い続けると、IgE抗体が付着した肥満細胞が体内に蓄積され、あるレベルに達すると花粉症になる条件が揃います。これを「感作の成立」といい、以後、花粉が侵入しようとすると、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出され、神経や分泌線、血管などを刺激するようになります。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が
花粉症の症状はさまざまです。例えば、肥満細胞から放出される化学伝達物質が鼻粘膜の神経を刺激した場合にはくしゃみ、分泌線が刺激されたときは鼻水、血管に作用して粘膜がふくらむと鼻づまりの症状を起こします。
目の場合も同じで、刺激が知覚神経や血管、分泌線などに作用すると、かゆみを覚えたり、涙が出たりします。
そのほか、耳のかゆみ、頭痛、皮膚のかゆみ、咳の発作などを訴える人もいます。重症になると、体がだるい、疲れやすいといった全身症状が現れることもあります。
花粉症を起こす花粉には
どんな種類があるの?
花粉症を起こす花粉の種類としてはスギ花粉がよく知られています。確かにスギが圧倒的に多く、首都圏ではバレンタインデーの2月14日ごろから約2カ月間スギの花粉が飛び、その時期に症状が出ます。スギより約1カ月遅れて飛ぶのがヒノキ。初夏から真夏にかけてはカモガヤやオオアワガエリといったイネ科の花粉が飛散して、それぞれが花粉症の症状を起こします。
スギの木がほとんどない北海道ではスギ花粉症は見られないものの、牧草によるイネ科花粉症や4〜5月に飛散するシラカンバ花粉症があります。
全国の果樹園で人工授粉作業に従事する人たちの間にはリンゴ花粉症、サクラ花粉症、モモ花粉症などもあるといわれ、これらは職業性花粉症とも呼ばれています。
次回は「花粉症の検査と診断」です。
2004年1月5日
|