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性感染症の中で、もっとも対策がいそがれているのがHIV(ヒト免疫不全ウイルス)によるエイズ(後天性免疫不全症候群)です。感染後すぐに発症するわけではなく、平均8〜10数年の潜伏期間があります。この間を一般にキャリア(保有者)といいますが、性交渉や血液を媒介として感染させる能力を有します。潜伏期を過ぎたら、免疫力の著しい低下による肺炎などの感染症が起こり、いずれ死に至る疾患です。現在まで全世界で1100万人以上が亡くなり、今も3千数百万人が感染しています。
アメリカでは感染者数はここ数年横ばいとなっており、拡大に歯止めがかかったと見られています。セックスレスペクト(性の尊重)という純潔教育プログラムが全米の1000以上のハイスクールで採用されており、こういった地道な対策が功を奏してきたといわれています。
ひるがえって日本ではどうでしょうか。HIV感染は1992年をピークにいったん減少しましたが、1996年以降再び増え始め、昨年はやや減少したものの、1年間の報告例としては過去2番目の462件でした。女性はここ5年間ほぼ横ばい状態ですので、近年の感染者数は男性の増加が目立つといえます。全体の増加傾向にはまだ歯止めがかかったといえるわけではなく、有効な対策の目途が立っていないので、遅からず深刻な事態になると警告する学者もいます。
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