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肝臓病のABC 第4回
肝炎ウイルスの感染ルート(上)

肝炎ウイルスの感染状況

肝炎ウイルスの感染状況 イメージ 日本では、肝障害のほとんどは肝炎ウイルス感染が原因です。一般的に、生活習慣病の予防には、まず食生活や喫煙、飲酒、運動などについて日常生活を改善することが必要ですが、肝臓病を防ぐには、まず肝炎ウイルスに感染しないようにすることが大切です。そのためには、どのようなルートで感染する可能性が高いのか、さらに今日の感染状況にはどのような背景があったのかを知ることです。

 B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)は、エイズウイルス(HIV)と同様に、血液を媒介とする感染症です。インフルエンザやA型肝炎のように、職場や学校でひろがるような病気ではありません。空気感染はしないし、食べ物や飲み物から伝染する病気ではないのです。

 この2種の肝炎ウイルスにとって、輸血は最も確実な感染ルートでした。現在では血液センターで厳密なふるい分けがおこなわれ、危険な血液は除外されています。同様に、血友病の患者さんが血液製剤の投与でウイルス感染してしまうケースも過去にはありましたが、状況は改善されました。

注射針の使い回しや歯科でも

 薬物依存者の間での「注射針の使い回し」は、感染の機会を確実に増やします。患者さんの血液のついた注射針を、医療従事者が誤って自分の指に刺すといった「針刺し事故」も感染を媒介します。「医療器具の消毒不足による感染」は、知識と使い捨て器具の普及のおかげで今では滅多に起こりません。「刺青や鍼(はり)、ピアスを開ける」場合には、道具の消毒が十分にされないまま次の順番の人にも使われてしまうことで感染が起こることもあるので注意が必要です。一般に、HBV の方が HCV よりはるかに高い濃度で感染者の血液中に存在しますから、「針刺し事故」のようにごく少量の血液を介する感染ルートの場合には、HBV の方が HCV より感染のリスクが高いとされています。

 昔から歯科医という職業はHIV、HBV、HCVなどに感染する危険度の高い仕事であるといわれています。同時に、歯科治療行為を受ける患者さんの方も、もし治療器具の「消毒不十分」や「使い回し」があるならば、肝炎ウイルス感染のリスクにさらされるわけです。今日の医療環境は改善されていますから、あまり目立った感染ルートとはいえませんが注意は必要です。

母子感染も起こる

 母から子への肝炎ウイルス感染を媒介する「産道感染」あるいは「子宮内感染」については、母体血液中のウイルス濃度が高い場合には非常に高い確率で起こります。しかし、もし検査でお母さんがHBV のキャリアであることがわかっても、赤ちゃんへのHBV 感染はワクチンや免疫グロブリンの投与で防ぐことができます。一方、HCVの母子感染はHBV のそれよりもはるかに低い確率でしか起こりませんが、母体血液中の濃度が高い場合にはリスクが高まります。HCV のワクチンは未開発なので、現在のところ防止法はありません。

 

<検査項目メモ>
* 検査結果の正常域等については、実施施設によって幅や表記法に差がありますので、担当医師にご確認ください。
検査項目表

次回は「肝炎ウイルスの感染ルート(下)」です。


2001年7月23日

※この原稿は医師が監修しています。

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