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生活習慣や栄養状態の改善で減少する胃がん
胃がんによる死亡は、肺がんについで世界のがんによる死亡原因の第2位を占めています。また日本では、欧米各国に比べ圧倒的に発病率が高いことが知られています。ただし、どの国の統計をみても、胃がんによる死亡率は年々減少してきています。いっせいに効果的な予防策がとられたわけではないので、胃がんの原因となる生活習慣や栄養状態が、近年世界的に改善されていると考えられます。
胃がんの原因として10年ほど前に登場したのが、細菌ヘリコバクター・ピロリです。日本人では50歳以上で感染率が高くなり、ピロリ菌が胃体部に感染していると、10人に1人という高率で胃がんになるといわれます。逆に胃がん患者の中にも、ピロリ菌に感染していない人がいます。そもそも世界中の人口の約半数はピロリ菌に感染していると推定されていますが、日本人が特にピロリ菌の影響を受けやすいのはなぜなのでしょうか。
まずピロリ菌の種類の違いが考えられますが、胃がんの原因といえるような「極悪ピロリ菌」はまだ見つかっていません。体質的な個人差では、胃酸の分泌が十分おこなわれない原因となる遺伝子の型をもっていると、胃炎を起こすピロリ菌と共犯で胃がんの危険度を高めるらしいということがわかっています。今後ヒトゲノムの解析が進むと、この様な情報はさらに増えると予想されます。
ありとあらゆる食物が胃を通過するわけですが、この中にも容疑者がいそうです。塩蔵品や塩辛い食事の多い地方では、胃がんの発病率も高いことが知られています。世界的に胃がんが減少傾向にあるのも、冷蔵庫や流通の発達によって塩漬けの食品が減ったこととの関わりが指摘されています。国立がんセンター研究所の津金昌一郎さんらは、塩分の多い食事をする人ほどピロリ菌に感染している割合が高いことをつきとめました。ついでアメリカの研究チームのマウスを使った動物実験でも、ピロリ菌と高塩分食の共犯関係が確認されました。
さらに、魚を中心とした食生活に目をつけた研究者もいます。国立がんセンター研究所の若林敬二さんらは、ピロリ菌に感染させた実験動物に魚を中心とした食事を与えた場合に限って胃に病変が発生しやすいことを突き止めました。一方イタリアの研究者達の調査によれば、魚をいつも食べる人はめったに食べない人に比べ、胃がん患者が0.7倍に抑えられたという報告があります。日本とイタリアでは、食材になる魚の種類や調理方法が違います。今後の展開に注目したい成果です。
2001年5月21日
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