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肝がんに関係するのは
B型・C型の肝炎ウイルス
日本では、1970年代末から肝がんによる死亡が増え始めました。その増加分はC型肝炎ウイルス感染が原因であるというのが、日本肝癌研究会による全国的追跡調査の結果でした。
原発性肝細胞がんは、その主要原因である肝炎ウイルスが発見されている点で、他の臓器のがんとは大きく異なります。ウイルスはさまざまなルートから体内に侵入しますが、その中で肝臓に住み着いて増殖活動を行い、肝臓の持ち主の健康に影響を与えるものが肝炎ウイルスです。
A型からE型まで、現在は5種類の肝炎ウイルスが確認されていますが、このうち肝がんに関係するのは、長年にわたって肝臓に居座り続けることのあるB型とC型です。どちらも空気や食事ではなく、血液を介して感染します。しかし、感染した人のすべてが発病するわけではなく、症状のないままウイルスの「運び屋」になるケースもあります。このことがわかってからは、どちらのウイルスも輸血用血液から厳密に排除されています。
B型肝炎ウイルスにはワクチンがあり、出産時の母子感染や、医療関係などで危険度の高い仕事をする人への感染が予防されています。C型肝炎ウイルスに有効なワクチンはありませんが、母子感染や性行為によって肝がんにまで進行するような感染が起こることはまれだといわれます。むしろ、麻薬常用者による注射の回し打ちや輸血(昔は日本でも売血制度がありました)、医療器具の消毒不足などで人から人へと感染した場合に危険だとみられています。
ところで、アメリカでも1990年ごろから、肝がんが増加し始めました。172の退役軍人病院でおこなわれた調査では、肝がんの発病年齢は平均64歳で、1993〜95年に比べ、1996〜98年の発病人数は3倍でした。そしてこの増加の原因も、やはりC型肝炎ウイルス感染であったことがつきとめられました。
C型肝炎ウイルスに感染した人の何割かは、慢性肝炎、肝硬変を経て15〜20年後に肝がんになります。つまり、肝がんが増え始めた時期から15〜20年前にその地域でC型肝炎ウイルス感染が爆発的に広がるような理由が存在したと考えられます。
それはちょうど日本では第二次世界大戦後、アメリカではベトナム戦争直後にあたります。広島大学医学部衛生学教授の吉澤浩司さんは、ウクライナでもアフガン戦争後に同様の現象がみられることを指摘し、これを「war-induced
hepatitis(戦争によって誘発された肝炎)」と呼んでいます。
2001年4月9日
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