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平均寿命の伸びとともに
がんによる死亡率が高くなっている
新世紀の幕開けということで、年末から年始にかけて、テレビで過去を振り返る映像が盛んに放映されました。この半世紀で、日本人のライフスタイルが激変したことをあらためて感じられた方も多かったと思います。がんという病気のトレンドも、この変化を大きく反映しています。
人口10万人あたりの男性のがん死亡率の推移をみると、1960年の110人から97年の273人へと急カーブで増えているのがわかります。とはいえ、がんという病気が悪性化した訳ではありません。早期発見や新しい療法などによって、全般的な治癒率は大幅に改善されています。
それなのに、がんで死ぬ人が多いということは、不慮の事故や感染症などの病気で若いうちに死ななくなった、ということなのです。乳幼児死亡率がいまだに高い途上国に比べ、先進国ではがんや心臓病などの生活習慣病による死亡が多いのです。
部位別には、肺がんが増えているのが目立ちますが、これはひとことで言えば「肺がんになるまでたくさん煙草を吸った人」の数を反映していると考えられます。早くから強力な禁煙運動が推進されてきたアメリカでは肺がんも頭打ちになったそうですが、世界的にはまだ喫煙も肺がんも増加傾向にあります。
大腸がんや前立腺がんも増えていますが、食事の欧米化や運動不足などが主な原因として疑われています。ハワイに移住した日系人を対象にした調査では、日本人よりも発病率が高いのが確認されましたが、その差はだんだん縮んできています。欧米人に比べて日本でこれらのがんが少なかったのは、人種による差だけではなかったのです。
肝臓がんも増えています。日本では、お酒の飲み過ぎが原因で肝臓がんになる人はほとんどいません。肝臓がんの増加は、第二次世界大戦後のある時期に、C型肝炎ウイルス感染が広がるような社会的状況がいくつか重なったことを反映しているのではないか、とみる研究者もいます。
もともと日本は世界的にみて胃がんの多い国でしたが、他のがんが増えているのに、胃がんは変わっていません。日本の外科医は腕が良いという話もありますが、冷蔵庫が普及し減塩が進んだことで、発病そのものが抑えられているという見方が優勢です。
2001年3月12日
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