では、どういう場合に男性が不妊症になるのでしょう。原因として、
- 精巣(睾丸)で精子がうまくつくれない
- 輸送路に問題があり精子がうまく通過できない
- 精巣上体(副睾丸)や前立腺、精のうなどの副性器の機能がうまく働かなかったり、先天的な異常がある
- 射精がうまくできない
- 勃起障害(インポテンス)である
といったことが考えられます。これらの中で最も多いのが(1)のケースで、医学的には造精機能障害と呼んでいます。
こ の造精機能障害には先天的なものと、後天的なケースがあります。
先天的な造精機能障害としては、精巣や精子の情報をもつ性染色体の異常があります。また、精巣は胎児のときにはおなかの中にあり、生まれる直前に陰のうに降りてくるものですが、何らかの理由によって両側の精巣が陰のう内に降りてこないことがあります。この停留精巣を成人まで放置すると造精機能障害を起こします。精子をつくるには体温より少し低い体温が適しているのですが、精巣がおなかの中にあると温まりすぎて、精子をつくる力が衰えるためです。ただし、近年は乳児健診が行き届いているので、成人まで停留精巣を放置するケースは少なくなっています。
後天的な造精機能障害をきたす原因として、最近注目されているのが精索静脈瘤です。これは精巣から出ている静脈にこぶができたために、血液が逆流して陰のうにうっ帯した状態をいいます。こうなると陰のう内の温度が上がり、それに伴って精巣の温度も上がって、精子をうまくつくれなくなるといわれています。あるいは、酸素の少ない静脈液がうっ帯するので、酸素の欠乏状態になる、腎臓や副腎からの代謝物質が精巣の組織に悪影響を及ぼすといった説もあります。精索静脈瘤は、解剖学的な理由から、両方にこぶができることはまれで、大半は左側にみられます。
また、15歳以降になっておたふくかぜ(流行性耳下腺炎)にかかり、精巣にウイルスが侵入し精巣炎を起こした場合、30%強の確率で無精子症になります。
こ れらのほかに、冒頭で挙げた環境ホルモンやアルコール、抗がん剤なども造精機能障害を引き起こします。
しかし実際には原因がはっきりしているケースよりも、何が原因かわからない特発性造精機能障害のほうが多くみられます。
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