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アルコールの取りすぎで脂肪肝が急増中

酒好きの人は要注意、
肝臓がフォアグラ状態になっているかも!

イメージイラスト 「自分は酒に強いほう。だからビールの4 、5本なんて水代わりみたいなものだよ」と、毎晩飲酒を欠かさないという人はいませんか。もし、ビール3本(日本酒換算で3合、ウイスキーダブルで3杯)を毎日5 年以上飲み続けているとしたら、たとえその人が自他ともに認める上戸だとしても、その人の肝臓はアルコールが原因の脂肪肝になっている可能性が高いといえます。

 肝臓にはもともと3〜5 %の脂肪が含まれるのですが、それが30%以上たまった状態を脂肪肝といいます。いわば肝臓がフォアグラ状態にあるといってよいでしょう。

 しかも正常な肝臓では、その脂肪はリン脂質が多いのに対し、脂肪肝では中性脂肪がほとんどです。脂肪にはいくつかの種類がありますが、中性脂肪は皮下や内臓にたまると肥満を引き起こすタイプの脂肪です。

 脂肪肝の主な原因はアルコールの過剰摂取のほかに、糖尿病や肥満があります。

肝臓は「沈黙の臓器」。
だから怒るとこわい

 「だけど肝臓が痛んだりということはないし、肝臓は昔と変わらず元気だよ」と反論の声が聞こえてきそうです。

 しかし、ちょっと待ってください。肝臓は「沈黙の臓器」という別名があるくらい我慢強いのです。ですから自覚症状がないからといって安心はしてはいけません。多量の飲酒を長年続けていてしかも体がだるい、疲れやすい、食欲がない、吐き気がする、右の肋骨の下あたりが痛い、おなかが張る感じがするといった自覚症状のある人はもちろんですが、そうでない人も医療機関で検査してもらうとことをおすすめします。脂肪肝を放っておくと肝硬変に進むこともあるので早めの対策が肝心です。

 脂肪肝であるかどうかは血液検査である程度診断がつきます。脂肪肝だと、GOT やGPT(どちらも肝細胞中にある酵素で、肝臓に障害が起きて肝細胞がこわれると血液中に出てくる)が正常値(GOT:8〜40IU/I 、GPT :5〜40IU/I )より高めに出ます。

 同時にコリンエステラーゼやγ(ガンマ)GTP なども異常値になります。確定するために、さらに超音波検査やCT 検査などが行われます。

アルコールと肝臓の
切っても切れない関係

 「何度も言うようだけど、自分は酒に強いし、ビール3本ぐらいじゃ、酔っぱらうなんてこともないんだよ」と未だに納得のいかない人もいるのでは。そこで、ちょっとアルコールと肝臓の関係をみてみましょう。

 体内に入ったアルコールは胃と小腸で吸収されたのち、ほとんどが血液で肝臓へ運ばれ、処理されます。肝臓では酵素によってアセトアルデヒドという毒性の強い物質に変わり、その後無害な酢酸に代謝されます。酢酸は血液に混じって筋肉などに運ばれ、そこで水と二酸化炭素に分解され、水は尿となり、二酸化炭素は呼吸によって体外に排出されます。ちなみに酒に強い人は、アルコールとアセトアルデヒドを代謝する酵素の働きが生まれつき強いと考えられます。

 このようにアルコールは肝臓で処理されますが、肝臓の処理能力を超えたアルコールが入ってくると処理されない分が残り、それが血液に入って全身を巡るため、酔っぱらった状態になります。一方、肝臓は一生懸命にアルコールを処理し、大量のアセトアルデヒトをつくり出します。しかしアセトアルデヒトが酢酸に変わるのが追いつかないときには、アセトアルデヒトも血液に混じって体内をまわり、その毒性によって吐き気や頭痛などを引き起こします。

 では、肝臓はアルコールに対し、どのくらいの処理能力を備えているかというと、個人差はありますが、一般に1時間に体重1kg 当たり0.1〜0.2g といわれています。体重60kg の人では6 〜12g 程度になりますから、ビールの大瓶1 本(約20g)だと処理するまでにおおよそ2〜3時間、3本飲めば5 〜10時間かかる計算になります。

酒はほどほどに。
そして週2日は肝臓を休ませよう

 「じゃ、たくさん飲んでもゆっくり飲めばいいんだ」──これは間違いです。肝臓の仕事はアルコールの処理だけではなく、糖質や脂質、たんぱく質といった食べ物に含まれる栄養素を代謝したり、胆汁をつくって十二指腸へと送り出すといった働きもあります。ですから、肝臓が絶えずアルコール処理に没頭していると、肝臓は疲労困憊し、ほかの仕事の能力までも落ちてしまいます。アルコール性の脂肪肝はまさにこれで、肝臓の過労で処理能力が落ち、脂肪がだぶついたために起こったといえます。

 アルコール性脂肪肝を防ぐには、多量の飲酒を控えることがいちばんです。健康の害することがない1日の酒の量の目安はビール大瓶2本(日本酒換算で2 合、ウイスキーではダブル2杯)です。また、週に2日は休肝日を設けるようにしましょう。また、アルコールを取りすぎて脂肪肝になったら、禁酒が大原則なのはもちろんです。同時に高たんぱく、高ビタミン・ミネラルの食材を選び、肥満があれば糖や脂肪を減らした食事を心がけます。


2000年9月18日

監修:板倉 勝(東海大学医学部付属東京病院 消化器肝臓センター長)
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