| 「全国1千万人の糖尿病予備軍の皆様こんにちは」、などと洒落にしているが、糖尿病は実際、おっかない病気なのである。糖尿病の主な症状は手足の痺れや疲れ易いなど、日常よくあることなので、知識がなければそうした症状を即、糖尿病に結び付ける人は余りいないと思う。それに個人差はあるが、痺れや疲れ易いなどで、仕事などの日常生活をそう簡単にギブアップはしない。もっとも多尿症だけはマイッタ! 「アレ、さっきしたのに」と思ってるそばから猛烈に尿意が催す。もう、おっかなくてトイレのない電車などに乗れなくなる。しかし、それでも「そのうち治るだろう」と放ったらかしてしまう。
恐ろしいのは糖尿病
そのものより“合併症”
ホント、知識が無いってこと程、恐ろしいものはない。しかし恐ろしいのは糖尿病そのものよりも、発病による他の病気の誘発、いわゆる“合併症”である。栄養が正常に吸収されなくなって最初に影響を受けるのが細い血管(これが手足の痺れを起こす)で、最も侵され易いのが目や腎臓、神経と言われている。自覚症状がないままに眼底の毛細血管から出血し、白内障などの重い病気につながってしまう。
腎臓は、血液を濾過し、老廃物を体外へ出す(尿を作る)重要な器官である。糖尿病は血中に糖質が異常に多くなり、腎臓がそれをセッセと濾過すれば、当然ヘットヘトになり、腎不全への道をひた走るという訳だ。さらに神経が侵され、痛みを感じなくことも非常に恐ろしい。例えば、足の先や裏に小さな傷があっても気付かず放ったらかしにしてしまい、そこから細菌が入り、化膿し、壊疽(えそ)という重い病に発展してしまうのだ。
こうした糖尿病のメカニズムを入院中の講義で散々聞かされ、病室に戻ってみると、白内障の手術待ちの老人や、壊疽により片足を太股から切断されてしまった働き盛りのおじさんが静かに待ち受ける。思わず「こりゃ、洒落にならんぜ」叫びたくなるのだった。
(つづく)
2000年10月23日
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