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わたしは糖尿病です 第3回
『問診』

おしっこが異常に出る

 「どうしました〜?」「イヤ、チョイト腹の具合が・・・・・・」てな塩梅に、まず患者とお医者が向き合って、最初に行うのが問診と言うヤツ。「手足が痺れませんか?」など、様々なことが質問される訳だが、「そんなこと結構あるでしょう」と思われることばかり聴かれたらハイと応えるしかないし、それで病人にされるなんて冗談じゃないと思っていた。

 ちなみに問診で、最も当てはまっていたことは、オシッコが異常に出ること。量もそうだが、問題は回数。とにかく30分〜1時間おきに尿意を催すのだ。勿論、寝ている時も同じ。1〜2時間くらいに1度はトイレに駆け込むということが毎日続いていた。これはもう紛れもなく異常なわけだが、それでも私は「そのうち元に戻るだろう」くらいにしか考えていなかった。当然、仕事は休まない。つまり私にとってダイアベティスの症状は、日常生活に支障を来す程のことではなかったのだ。

見た目に普通だったダイアベティス

 それもこれも「私は丈夫なんだ」という過信に起因しているが、往々にしてダイアベティスという病気は、合併症に発展しない限り、見た目には普通なのである。お医者さんに、「だから怖い」と言われ、理屈では理解しても、普通と変わらなければ、普通に生活してしまうものではなかろうか。そんな風だから問診なんて馬耳東風。「なる程ねぇ〜」なんて具合に全く相手にしない。入院してからも、こんなにピンピンしてるのに、何で入院なんて事態になったのかと憤りが吹き出てくる。

 しかし、入院し、ダイアベティスのメカニズムを理解すればする程、最初に問診を受けた時のことが鮮明に蘇った。「オシッコの回数は多いですか?」と聞かれた時の、「何でそんなこと分かるの」とドキッとした時の、恥ずかしさを隠そうとしていた自分。 お医者は、霊媒師でもなければ占い師でもない。チャント根拠があって問診する。それに耳を傾け、正直になることが、病気を治す第一歩なのである。

(つづく)


2000年8月18日

石川 栄
プロフィール

石川 栄(いしかわ さかえ)、昭和35年1月4日生まれ。 自動車整備士、コック、アニメーション制作を経て昭和62年に物書きとなる。(ライター暦13年)。映画界での取材や評論を得意とし、故黒澤明、松田優作氏にインタビューしたことが自慢のタネ。代表作は漫談家・牧伸二氏の芸能生活35周年記念アルバム「ナンセンスアイランド」(作詞)。冬は今だに長火鉢で暖をとり、魚は七輪で焼くなど、時代に逆行した生活をこよなく愛する、今時珍しい中卒の物書きである。

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