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「小便したら蟻が群がってきそう」
40歳の誕生日が間近に迫ったある日、突然、糖尿病を宣告された。
これまで、骨折で入院したくらいで、内科関係にはとんと縁のない、自他共に認める丈夫さが、密かな自慢でもあった私が、まさかこの年齢で糖尿病だなんて。
それも事態は深刻らしく、即入院を言い渡されたのだから、洒落にならない。
私は、冷静さを装いながらも、頭の中では、「そうだ、親父も糖尿病だったっけ。」「そうだ、これは所謂”前厄”というヤツか」・・・等々、いろんな事が頭を駆け巡った。
中でも「友だちに何て言おう?。糖尿病なんて格好悪い病気、馬鹿にされるに決まってる」という他愛のない思いが、気分を重くし、病気という大事件をしっかり受け止められなかった。
それ程、糖尿病とは、他の病気にはない、気持ちを沈ませるネガティブなインパクトを持った病気ではなかろうか。「だって”糖”と”尿”だぜ、草むらで小便したら蟻が群がってきそう」ってな感じで、何とも間抜けな病気としか思えない。と言うのが、私の正直な気持ちだ。
他に何か適当な病名は無かったのかと、この病気の命名者を恨みたくなる。
「I HAVE DIABETES」
だが、そんな私の気持ちを少しだけポジティブにしたのが一枚のカードだった。(社)日本糖尿病協会が糖尿病と認定された患者に発行する「糖尿病カード」である。このカードには、「わたしは糖尿病です。」と明記され、その下に英語で「I
HAVE DIABETES」と記してある。この様なカードが何故必要なのかは別の機会に語るとして、注目すべきは、糖尿病は英語でDIABETES(ダイアベティス)と言う点である。
「糖尿病はまたの名をダイアベティスと言うのか。そうだ、これなら”糖”だの”尿”だのという忌まわしい言葉からは開放される。」
”ダイアベティス”は一筋の光明となり、私は病気という現実に向き合うことが出来た。
そして、ここから、私とダイアベティスとの長い戦いの日々が始まった。
(つづく)
2000年6月2日
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