|
彼女の場合、悪化因子は就職によるストレスだけとは考えにくいのです。おそらく、東京という都会の環境が、なんらかの影響を与えていたのではないでしょうか。もちろん、地方にもアトピーはありますが、都市部に住むということが、どうも悪化因子になっているような気がしますね。
たとえば、大都会での住環境。サッシなどの金属枠の使用やコンクリート住宅の普及による気密性の向上、新建材などに含まれるホルマリン等の化学物質。さらには大気汚染、水道水や農薬・添加物だらけの食物(これは地方でも似たようなものですが)など、さまざまな要因が考えられます。

大気汚染については、ディーゼルエンジン車の排気ガス中の「ディーゼル排気粒子(DEP)」がアレルギー悪化の引き金になっているといわれています。
大気に浮遊する物質で、10μm以下のものを浮遊粒子状物質(SMP)といいますが、そのなかで、ディーゼルから排出されるものをDEPとよんでいます。ベンゾピレンやニトロアレーンなどの発ガン性物質を多く含んでいることや、肺や気管にはいると呼吸器に影響をおよぼす、ぜんそくを引き起こすことでも問題視されています。このDEPがアレルゲンと結びつくことで、ぜんそくはいとも簡単に引き起こされますし、アレルギー性鼻炎、花粉症などの引き金にもなっています。ディーゼルエンジン搭載の車は全国津々浦々、走っていますからね、そういう意味では都会のもつ悪化因子が全国にばらまかれているともいえますね。
私のクリニックは環状八号線のすぐ近くです。1970年ころは、光化学スモッグの犠牲に多くの児童がなったという小学校のそばにあります(杉並病も近くです……)。この地域、実はアトピー関係の病院が密集しているんです。ということは、アトピーが悪化しやすい環境にあるんでしょうかねぇ。
ところが、アトピーとは不思議なもので、同じ都会でもロスアンゼルスは違うんですね。30
代前半の男性、会社員の患者さんですが、ロスに2〜3カ月、出張していると、きれいになってしまいます。本社とは違うからストレスがあまりないのかとも考えられますが、他にも、海外の大都会ではきれいだったのに、東京暮らしをはじめたら急に発症したという帰国子女の患者さんもいます。
|