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赤ひげ診察室の「アトピー・アレルギーお役立ち救急箱」第9回
ストレスがアトピー性皮膚炎を悪化させる!?
だったら、とにかく気分転換を!!
小見出し イメージ 大学合格で症状が改善!!
受験ストレスからの開放が◎

 お元気ですか。秋も一段と深まりをみせてきました。食欲の秋、読書の秋など、なにをするにも快適な時期ですよね。ただし、受験生にとっては、これからが本番。いよいよ死ぬ 気(?)で取り組まないといけない時期です。あっ、それは私だけのことでした? みなさんのお子さんは日々着々と勉強されてるのかもしれませんね、ハハハ……。

 今回と次回はもう少し詳しく、ストレスとアトピー性皮膚炎(以後アトピーと略す)との関係について、お話ししましょう。まずは受験生の患者さん2 人のケーススタディです。

 予備校に通っているA君は、顔中心のアトピーです。とくに、赤みとかゆみがひどく、本人もその赤ら顔をいちばん気にしていました。「ステロイド剤は使いたくない」ということでしたので、漢方を中心としてスキンケアや環境整備による治療を決めました。しかし、思ったほどに改善がみられませんでした。ところが、志望校にめでたく合格してしばらくすると、あれほどガンコだった皮疹が落ち着いたのです。現在は漢方薬の量 も減り、良好なコントロールができています。

 女子高3年のB子さんは、顔・首・胸が中心のアトピーです。かゆみがひどく、とくに首の皮疹がよくなりません。

 と きどきジクジクするなど、一進一退の状態でしたが、大学に合格してからは、グンと落ち着きました。

小見出し イメージ 心的ストレスが神経系を介して
免疫系に影響し、皮疹を悪化

 受験に限りませんが、児童も含めアトピーは、さまざまな心的影響を受けるもののようです。入学して新しい環境にはいる。イジメや学校にいきたがらないなどの学校不適応、就職、職場内での配置転換、人間関係、転職、さらには家庭での親子関係、失恋……。このようなさまざまな心的ストレスが、アトピーの悪化因子になっているのです。

心的ストレスが神経系を介して免疫系に影響し、皮疹を悪化 もうひとつ、失恋の例をあげておきましょう。高校1年のC子さんは、乳幼児アトピーの経験もなく、思春期をむかえました。志望の高校にもはいり、好きな彼もできました。毎日が充実の日々だったようです。うらやましいですね。ところが夏の終わりころ、急に彼から別 れ話がでました。日曜日のデートにルンルン気分ででかけたときのことです。いつも2人がお気に入りの、渋谷の喫茶店で待ち合わせるのですが、「さあ、今日はなにしよう!」と、きりだしたとき、彼から「実は、別 れたいんだ……」。C子さんは「?」「いま、なんていったの?」。あとは、プライベートですから、省略しますが、家までの30分。なにもかもが真っ白になって、どうやって帰ったのか、いまでも思いだせないそうです。部屋にこもって、ただただ泣くばかり。

 そのC子さん。翌日突然、全身に皮疹があらわれ、1 週間もたたないうちに重度のアトピーまで症状はいっきに悪化しました……。

 失恋という想像を絶したショックが彼女の心的ストレスとなって、アトピーを発症させてしまったわけですね。ショックの度合い、ストレスの強さというのは当然、個人差がありますから、なかなか尺度をもつことはできませんが、いずれにしてもストレスが、場合によってはアトピーの原因になるということは確かです。これはストレスによる心的負荷が、心身症も含め、いろんな部位 、いろんな病気を引き起こす可能性があるということで、そのひとつとしてアトピーが発症するケースもあるということです。

アトピー悪化のメカニズム アトピー悪化のメカニズムについて、お話ししましょう。
 右をみてください。最近わかってきたことですが、人間の神経系と内分泌系(ホルモン系)、免疫系は各々独立して働いているのではなく、お互いが有機的なネットワークを形成して、情報伝達の仕組みを共有し、外界のさまざまなストレスにたいして、生体が常に一定の安定した状態を保つように働いているようです。

 つまり、心的ストレスは、神経系を介して免疫系に影響し、皮疹を悪化させるというわけです。まだ発展途上の研究ですから、クリアなことはわかっていませんが、さまざまな実験報告があります。

 たとえば、ネコの実験。脳の視床下部を刺激すると、不安や怒りなどの反応を起こすのですが、これがかゆみのもとである血中ヒスタミンを上昇させる、という報告。緊張・不安・落ちこみやすい仕事の忙しさといったものが、免疫系を介さずに、直接皮膚に作用してバリア機能に影響し、角質の水分量 を減らす、という報告などありますが、まだまだ研究されている最中です。

 ストレスによるアトピー悪化の、いちばんわかりやすい説明は、皮疹を「かきむしる」という行動をともなうことです。つまり、対人関係のストレスは、不安・緊張・怒りなどを生じ、これらが「かきむしる」行為を助長して、皮疹がさらに悪化するというわけです。ですから、ストレスがあっても「かきむしる」行為に結びつかないような、一種の行動療法的な治療が必要になるわけですね。

小見出し イメージ 「かきむしる」のですから、
爪を切ることも忘れずに!!

 お母さんにキツクしかられたあとに、バリバリとかいている子でも、なにか好きな絵本に夢中になると、かかなくなったりしますから。いずれにしても、ストレスをためさせないようにするのが親の務めでしょうが、ストレスでバリバリやってるときには、なにか本人の好きなことに気をむけさせるように心がけてあげましょう。成人型のアトピーの人は、ぜひ気分転換を心がけてください。とはいっても、先ほどのC 子さんのように、気分転換なんかできないストレスもたくさんありますよね。でも、お願いですから、気分転換するようにしてください。アトピー改善のためには、それが最短なのですから。エンドイメージ

 行動療法とともに、爪をきれいに切ることもお忘れなく!!
 では、おだいじに!!

私の考えがまちがっていれば、「guchi@pb3.so-net.ne.jp 」にメールをください。ここでお話することのbackground を知りたい方は、私のホームページをご覧ください。「http://www02.so-net.ne.jp/~guchi


2000年10月16日

プロフィール

「アトピー・アレルギーお役立ち救急箱」イメージ
山口典秀先生
やまぐち・のりひで

医療法人恵明会・恵明会クリニック院長。1951 年生まれ。九州大学医学部卒業。同・脳疾患研究施設(神経内科)、大牟田労災病院、浴風会病院を経て、東京・千代田区で開業。97 年にアトピー・アレルギー専門の恵明会クリニックとして練馬区に移転。日本東洋医学会認定専門医。

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