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受験に限りませんが、児童も含めアトピーは、さまざまな心的影響を受けるもののようです。入学して新しい環境にはいる。イジメや学校にいきたがらないなどの学校不適応、就職、職場内での配置転換、人間関係、転職、さらには家庭での親子関係、失恋……。このようなさまざまな心的ストレスが、アトピーの悪化因子になっているのです。
もうひとつ、失恋の例をあげておきましょう。高校1年のC子さんは、乳幼児アトピーの経験もなく、思春期をむかえました。志望の高校にもはいり、好きな彼もできました。毎日が充実の日々だったようです。うらやましいですね。ところが夏の終わりころ、急に彼から別
れ話がでました。日曜日のデートにルンルン気分ででかけたときのことです。いつも2人がお気に入りの、渋谷の喫茶店で待ち合わせるのですが、「さあ、今日はなにしよう!」と、きりだしたとき、彼から「実は、別
れたいんだ……」。C子さんは「?」「いま、なんていったの?」。あとは、プライベートですから、省略しますが、家までの30分。なにもかもが真っ白になって、どうやって帰ったのか、いまでも思いだせないそうです。部屋にこもって、ただただ泣くばかり。
そのC子さん。翌日突然、全身に皮疹があらわれ、1 週間もたたないうちに重度のアトピーまで症状はいっきに悪化しました……。
失恋という想像を絶したショックが彼女の心的ストレスとなって、アトピーを発症させてしまったわけですね。ショックの度合い、ストレスの強さというのは当然、個人差がありますから、なかなか尺度をもつことはできませんが、いずれにしてもストレスが、場合によってはアトピーの原因になるということは確かです。これはストレスによる心的負荷が、心身症も含め、いろんな部位
、いろんな病気を引き起こす可能性があるということで、そのひとつとしてアトピーが発症するケースもあるということです。
アトピー悪化のメカニズムについて、お話ししましょう。
右をみてください。最近わかってきたことですが、人間の神経系と内分泌系(ホルモン系)、免疫系は各々独立して働いているのではなく、お互いが有機的なネットワークを形成して、情報伝達の仕組みを共有し、外界のさまざまなストレスにたいして、生体が常に一定の安定した状態を保つように働いているようです。
つまり、心的ストレスは、神経系を介して免疫系に影響し、皮疹を悪化させるというわけです。まだ発展途上の研究ですから、クリアなことはわかっていませんが、さまざまな実験報告があります。
たとえば、ネコの実験。脳の視床下部を刺激すると、不安や怒りなどの反応を起こすのですが、これがかゆみのもとである血中ヒスタミンを上昇させる、という報告。緊張・不安・落ちこみやすい仕事の忙しさといったものが、免疫系を介さずに、直接皮膚に作用してバリア機能に影響し、角質の水分量
を減らす、という報告などありますが、まだまだ研究されている最中です。
ストレスによるアトピー悪化の、いちばんわかりやすい説明は、皮疹を「かきむしる」という行動をともなうことです。つまり、対人関係のストレスは、不安・緊張・怒りなどを生じ、これらが「かきむしる」行為を助長して、皮疹がさらに悪化するというわけです。ですから、ストレスがあっても「かきむしる」行為に結びつかないような、一種の行動療法的な治療が必要になるわけですね。
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