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赤ひげ診察室の「アトピー・アレルギーお役立ち救急箱」第7回
アトピー性皮膚炎の症状を悪化させないための第一条件は
肌の「清潔」と「保湿」を徹底する!!
小見出し イメージ 季節の変わり目も、実は
体にとってはストレスに

 お元気ですか。暑い夏もようやく一段落。アトピー性皮膚炎(以後アトピーと略す)と悪戦苦闘している患者のみなさんも、季節的にはちょっと一息というところでしょうか。でも、本当に「ちょっと一息」なんですよね、悲しいかな……。症状の出方も十人十色、人それぞれということを考えても、けっしてどの時期、季節が小康状態を保てるかなんて話はナンセンスですからね。

 そればかりではありません。季節の変わり目って、けっこう体のストレスになっているんですよ。成人アトピーの原因として、一番にあげられるのが「ストレス」なんです。いい意味でも悪い意味でも、人はみなストレスをうけることで生きています。体や精神を害するものばかりがストレスではありません。女性は恋をすると輝いてみえますよね。その場合の恋は、一種のストレスなんです。いい作用をしているわけですね。ただ、恋も失恋で終わると、悪いストレスになります。いい例えではなかったですか、アハハッ。

 つまり、暑い夏から秋へと季節がかわるときに、夏ばてなどで体調を崩す人も多いのですが、これは季節の変化を体が悪いストレスとして感じて悪影響をうけているわけです。アトピーの患者さんにも季節の変わり目がストレスとして作用しているケースは多いのですが、はっきりとした対症法はありません。精神面 でできるだけストレスをためないようにということはアドバイスできても、体自体が感じるストレスまでは、なかなか対策がたてにくいものです。残念ですが。ただ、具体的な症状の改善にはアドバイスできますよ。わたしは、漢方治療をとりいれていますので、比較的長く通 院される患者さんも多いのですが、1年もすると、その患者さんの悪化・改善の周期や原因がだいたいわかります。季節的な変化以外にも、たとえば会社でいえば就職や配置がえ、学校でいえば受験や進学、あるいは何かの花粉が飛ぶ時期になると悪化するなどなど。

 今回は、このような1年を通じた悪化因子……、とくに、意外に気づかれていないような事柄を中心に、お話ししましょう。

小見出し イメージ セラミドという脂質が減ると、
皮膚のバリア機能が低下する
 秋から冬にかけての悪化の原因……、これは乾燥によるものが一番です。御承知のように、アトピーの発症メカニズムは、アレルギー的なもののほかに、皮膚そのものの変化、つまり「バリア機能の障害」によるものがあります。これは皮膚の角質層というところで、細胞と細胞の接着剤の役割をしている『セラミド』という脂質が減るため、皮膚のバリアとしての機能がダメになるわけです。
  • 保湿機能も衰えて水分がなくなりカサカサになります。
  • さまざまな刺激にたいして敏感になります。
  • ダニやハウスダストなどの環境アレルゲンの侵入を許します。
  • 細菌・ウィルスなどの微生物に感染します。

 など、さまざまな不都合が生じ、アレルギーによる発症メカニズムと一緒になって、アトピーになると考えられています。

 ちなみにセラミドは、最近かなりのブーム(?)のようですね。セラミド配合のスキンケア・クリームをよく見かけるようになりました。保湿剤としては、良いようですよ。

 乾燥にたいしては、2種のスキンケア、「肌を清潔にすること」、「肌に潤いを保つこと」が大切です。皮膚の汚れのなかには、ダニ、ハウスダストなどのアレルゲンも存在しますし、汗、ホコリなどの皮膚にとって刺激になるものも多く含まれています。とにかく、まずはこれらをキレイに洗い流してください。ただし、石鹸やシャンプーもアトピーの悪化要因になりますので、これらも使ったあとは念入りに洗い流しましょう。

 ゴシゴシ洗う人がいますが、これもよくありません。なるべく、皮膚に刺激の少ない、柔らかい素材のもので洗います。お風呂からあがって体をふくときも、タオルでこするようにするのではなくて、柔らかい布、ガーゼなどを使ってパタパタと軽く押さえる程度にするのがいいでしょう。

 そのあと保湿です。ワセリンなどの保湿剤をしっかり塗りましょう。お風呂で皮膚の脂分を洗い流していますから、脂分はしっかりと補充してください。わたしはワセリンが一番良いと思いますが、患者さんのなかには「ワセリンはベタつくのでイヤだ」という人も結構います。そんな人には、サラッとしたクリーム系でもいいのですが、なるべく界面活性剤がはいってない保湿剤を選びましょう。界面活性剤は、皮膚を刺激したり、湿疹を悪化させたりするので、いくら塗った感じが良くても、わたしはおすすめできません。

 秋風にのって、収穫を祝う秋祭りの祭りばやしが聞こえてきました。子ども神輿もでているのでしょう。「ワッショイ、ワッショイ」とかわいい声が届きます。大人神輿の威勢のいい「ソイヤッ、ソイヤッ」もいいですが、子どもの元気なかけ声、ハッピ姿もいいですね。汗をかいてますから、お子さんの「清潔」と「保湿」を忘れないでやってくださいね、お母さん。

小見出し イメージ 保湿剤・ワセリンは入浴後
体のほてりがなくなって塗る

 保湿剤・ワセリンを塗るときの注意ですが、お風呂あがりにすぐというのは、やめましょう。あとでかゆみがでやすいので、体が少し冷めてからにしてください。目安としては、夏場で30分、冬場で10分くらいたってからでしょうか(冬場はとくにカゼをひかないように注意しましょう)。ようは、体のほてりがなくなったかなといった頃合をみてという感じです。

 以上はスキンケアの基本中の基本ですが、わたしのところでは、さらに漢方を使います。漢方にもアトピーの症状に応じて、いろんな処方がありますが、とくにバリア機能を強化するタイプの処方はよく使います。

プールのあとは、しっかりとシャワーをあびてください!! 冬に悪化する人にこれを処方すると、体の内側から皮膚の質を改善することができるのです。セラミドの合成を活発化しているのではないかと、個人的には考えています。患者さんには、「昨年の冬より乾燥しなくなった」と喜ばれていますよ。後日、漢方の話は、まとめてやります。そのときに詳しい話をしましょう。

 では、おだいじに!!

私の考えがまちがっていれば、「guchi@pb3.so-net.ne.jp 」にメールをください。ここでお話することのbackground を知りたい方は、私のホームページをご覧ください。「http://www02.so-net.ne.jp/~guchi


2000年10月2日

プロフィール
子供の健康 アレルギーイメージ
山口典秀先生
やまぐち・のりひで
医療法人恵明会・恵明会クリニック院長。1951 年生まれ。九州大学医学部卒業。同・脳疾患研究施設(神経内科)、大牟田労災病院、浴風会病院を経て、東京・千代田区で開業。97 年にアトピー・アレルギー専門の恵明会クリニックとして練馬区に移転。日本東洋医学会認定専門医。
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