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赤ひげ診察室の 「アトピー・アレルギーお役立ち救急箱」第6回
旬を上手に取りいれて、アトピー性皮膚炎の改善!!
香辛料やアルコールには注意を
小見出し イメージ 激辛カレーの食べ過ぎで
翌日アトピーが発症……

 お元気ですか。前回は「温熱」がアトピー性皮膚炎(以後アトピーと略す)の悪化要因であることをお話ししました。今回はそのパート2。日光(赤外線)や温泉だけでなく、食べ物などにも「熱←→寒」の分類がなされるのです。

 たとえば香辛料(コショウ、マスタード、わさびなど)は「熱性」です。当然、アトピーを悪化させます。

 高校生の患者さんの話です。激辛カレーを食べ過ぎた翌日、アトピーが発症してしまった。この患者さんはそれまでアトピーではなかったのですが、潜在的にアトピー素因をもっていて、それが激辛カレー(香辛料の「熱性」)の刺激で、皮疹が一気に発症したようです。ですから、別 に激辛カレーがアトピーの原因というわけではありません。そういえば、キムチの大好きはオバサ…、失礼、ご婦人がいらっしゃいました。ある日の昼食時にテレビに無中になって、気がついたら、キムチをひとビン(どんぶり軽く一杯くらい?)平らげていた……。で翌日、突然アトピーが発症してしまった。きっと昼メロでもみていて、ヒロインになりきっていたのでしょうかねぇ。ご本人は、なにをみていたか、けっして教えてくれませんでしたが……(アッ、治療には関係なかったですね。失礼しました。でも、問診、問診!?)。

 キムチといえば、こんな患者さんもいました。首と顔の赤み、かゆみがひどい、中学生の患者さんです。普段は落ち着いているのですが、たまに悪化というのをくりかえします。原因はよくわかりませんでした。4月にひどく悪化したのですが、そのとき、悪化前1週間ほどの生活状況をいろいろ聞いて原因を探しました。

 ハウスダストやダニの可能性、ストレスの可能性、そのほかいろいろな可能性を話しあいました。でも、原因解明の決定打はありません。
 「ウ−ム」と、医師である私としては、こういったときほど力のなさを感じるときはありません。患者さんの前で、医師が石(イシ)のようになってしまいます(トホホ)。そんなとき、私を救った(?)のは、キムチでした。
「そういえば、悪化した前の日の晩ごはんで、キムチ鍋をたくさん食べました」
「そ、それだ!!」

 石状態の私が医師にもどった瞬間でした(しつこいですか、アハッ)。

 私は自信をもって、なるべく香辛料は減らすように指導しました。結果、周期的な悪化はみられなくなりました。ちなみに彼女、辛いものが大好物だったのです。

 成人型アトピーの場合、乳幼児のアトピーとちがって、牛乳や卵などが原因での悪化というのは、あまりみられません。したがって食事指導もそれほどしませんが、「熱性」のもの、とくにアルコールと香辛料は極力控えるように指導しています。

 そういえば、秋は秋で楽しいキャンプがまっていますね。キャンプといえば、自分たちでつくるカレーライス。どんな出来でも「おいしい」ですよね。お父さんは、それにビールでしょうか。大自然のふところに抱かれての、手づくりディナーは最高!!ついつい食べ過ぎ、飲み過ぎてしまいがち。気をつけてください!!

 アトピーの発症がないからといって油断は禁物です。といっても、脅しているわけではありません。暴飲暴食は、いずれにしても体のリズムを狂わせます。けっしていいことはありませんからね。

小見出し イメージ 秋は肌に潤いを
与える食物を多く!!

 前回、「熱←→寒」は、詳しくは「熱―温―平―涼―寒」に分類するといいました。

  そこで「温熱性食物」「平熱性食物」「寒涼性食物」の大きなくくりで、主だった食物をあげてみましょう。

  • 温熱性食物……ネギ、ニラ、タマネギ、ピーマン、ニンジン、カボチャ、キャベツ、サヤエンドウ、桃、リンゴ、鯵(あじ)、うなぎ、鯛(たい)、鶏肉など
  • 平熱性食物……トウモロコシ、落花生、ナツメ、トマト、キクラゲ、サツマイモ、そら豆、ハチミツ、ゴマ、鶏卵、鯉(こい)など
  • 寒涼性食物……キュウリ、大根、ほうれん草、ハス、トウガン、すいか、タケノコ、柿、ナシ、小麦粉、豆腐、カニ、豚肉など

イメージイラスト 夏は、体内の熱を発散させ、ためこまないことが基本となります。アトピーの人や虚弱体質の人は、気温に応じて汗をかいたり、体温調節することが難しいといわれています。しかも、冷房ギンギンのところが多いですよね。冷房で皮膚温度が急速にさがれば、皮膚の毛細血管が急速に収縮されます。結果 、でるはずの汗もでなくなってしまい、ますます皮膚の代謝を悪くしてしまいます。体内に熱がたまって、症状を悪化させることに。

  • 冷房、とくに急激な冷やしすぎは避けましょう。でる汗はだしましょう。汗をかいたあとは、ぬ るめの温水シャワーをていねいに浴びましょう。
  • アトピーにいい食物=寒涼性食物を多くとりますが、なかでもスイカは血管を柔らかくして、血圧をさげる作用がありますので、高血圧のお父さんにもオススメです。
  • 寒涼性食物……キュウリ、大根、ほうれん草、ハス、トウガン、すいか、タケノコ、柿、ナシ、小麦粉、豆腐、カニ、豚肉など
 そのほか、タマネギ、ニンジン、ニラ、トマトなど、寒涼性ではありませんが、夏に食べたい、アトピーに効果 のある食物です。
  • 野菜はなるべく火を通したものを食べましょう。
 秋は皮膚が乾燥しやすく、アトピーはジュクジュクがガサガサになる季節です。アトピーの患者さんに限らないのですが、この季節は体に潤いを与える食物を多くとるようにしましょう。これは、冬対策でもあります。
  • 肌にいい食物=ハス、トウガン、リンゴ、ゴマ、ユズ、レモン、サツマイモ、キクラ ゲ、オリーブ、ナシなど。
 冬は、栄養を蓄える時期です。良質のたんぱく質は多めにとりたいですね。でも、たんぱく質がアレルゲンの人は、厳しい注文ですよね。アレルギー反応がでないものを少しずつでも食べる努力はしたいものです。冬にたんぱく質をとらない子は、その分、成長が遅れるともいわれます。細心の注意で、お子さんのために努力してあげてください。
  • 豆腐、魚、羊肉、豚肉(とくに豚骨スープ)、鶏ガラスープやゼラチンの豊富なものを 食べましょう。
  • 温熱性食物を多く食べましょう。
 春は、すべてのものが成長・変化しやすい時期です。アトピー・アレルギーも例外ではありません。顔面 部を中心に外気にさらされる部分は、赤くなってたり、ジュクジュクになったりと変化がでます。冬に安定していた湿疹やかゆみが、ひどくなる場合も多いようです。外出時間を短くしたり、帰宅したら露出した皮膚を洗浄するのはもちろんですが、食べるものにも注意してください。
  • 春菊、みょうが、セロリなど、苦味のある野菜わ毎日食べる。
  • よもぎ、山芋、サトイモ、サヤエンドウや粥(かゆ)など、温性で消化器系にいいものを多くとりましょう。
■ダメなもの
  • カニ、エビ、牡蠣(かき)や旬の魚介類
  • 香辛料や辛いものは、この時期とくに控える
小見出し イメージ 基本は「おいしい時期に
おいしいものを食べる」

 大急ぎで四季の食物を紹介しましたが、肝心なのは、できるだけ旬の食材を中心に料理を組み立てて、食卓を考えることです。食材にはそれぞれ一番パワーを発揮する時期があります。それが旬です。その旬の食材パワーを体に取りこむことが、体をよりよい状態に保ってくれるわけです。そう考えると、わかりやすいと思います。

 たとえば夏を旬とする食材は、熱をさげる作用のものが多く、暑い夏に食べてこそ、体の温熱バランスを保ってくれます。冬を旬とする、たとえば大根やゴボウなど、いわゆる根ものといわれるものは、体を温めますから、冬に食べてこそ体の温熱バランスを保ってくれます。

 それが、本来の旬の考え方なんですね。でも気がつけば、季節のない街で、季節のないものばかりを食べていると思いませんか。
イメージ

 お父さん、家庭に季節を取り戻しましょう。お母さん、食卓に旬を取り戻しましょう。

 では、おだいじに!!


2000年9月25日

プロフィール
子供の健康 アレルギーイメージ
山口典秀先生
やまぐち・のりひで
医療法人恵明会・恵明会クリニック院長。1951 年生まれ。九州大学医学部卒業。同・脳疾患研究施設(神経内科)、大牟田労災病院、浴風会病院を経て、東京・千代田区で開業。97 年にアトピー・アレルギー専門の恵明会クリニックとして練馬区に移転。日本東洋医学会認定専門医。
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