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海は生命誕生の源でした。太古、地球の誕生には諸説ありますが、およそ120 億年もの昔でした。生物の祖先が誕生したのは、およそ40
億年前。地球にある、ありとあらゆる生命の故郷は、海。海はすべての生命の母でした。ある詩人は、海という漢字を分析して、“海のなかには母がいる”と詩っていましたっけ。
なぜ海が生物の母になったのか。ひとくちでいえば、海水にはカルシウムをはじめとするミネラルが豊富だったからです。
母親の体内で胎児をはぐくむ羊水は、海水のミネラルバランスとほぼ同じだといわれています。私たちの祖先が、海から陸にあがる前、海は生物にとって唯一のすみかであり、棲息の場でした。同様に、胎児にとって羊水は唯一のすみかであり、陸へあがる(生まれる)までの棲息の場でもあります。
母体は、母なる海の成分を体内に取りこんで、上陸を果たした生物の歴史を再現しているといえないでしょうか。
また、人間の体液である血清も、海のミネラルバランスとほぼ同じだといわれています。いってみれば人間は、生命の源、母なる海を体内にとりこむことで、はじめて地上で生きることが可能になったといえるでしょう。
人には本来、自然治癒力があり、体を常に健康な状態に保とうとしますが、これもいってみれば、体内に生命の源である海をもっているからではないでしょうか。海水療法(タラソ・テラピー)などは、そういった、生命の不思議、母なる海の神秘的なパワーを積極的に利用しようとしているともいえるでしょう。
先ほど、海水浴がアトピーにいい理由として、紫外線と海水による殺菌効果 をあげましたが、たとえばナトリウムは体のPH(ペーハー)バランス(皮膚であれば弱酸性に保つとか)や浸透圧生態機能を整えてくれます。マグネシウムは、血管拡張作用があり、新陳代謝を活発にします。こういった、身体機能に欠かせないミネラルの働きも、アトピー改善には無視できないわけです。
私の小学1 年生の患者さんのお話をしましょう。初診のときは中等度のアトピーで、かゆみもひどい状態でした。お母さんは絶対にステロイド軟膏を使いたくないということでしたので、せんじ薬と生薬軟膏でなんとか症状の改善にもちこみました。いまでも、ひざとひじに、わずかに皮疹があり、夏の汗の季節になりますと、少し悪化します。でも、あまり心配はしていません。というのも、実は、彼女は逗子海岸の近くに住んでいますので、悪化したら海水浴にいくようすすめています。海水浴で悪化が改善しているからです。
2年前よりも昨年、昨年よりも今年というように、少しずつ改善度はあがってきています。きっと近い将来、その患者さんは自然経過で治癒するだろうと期待しています。
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