|
スペインには保健室がない
いじめ、登校拒否、加熱する受験戦争など、今や子どもを取り巻く環境にはたくさんのストレスがあふれています。さまざまな理由から教室に通えない子のために「保健室登校」を認める学校が出てきたり、子どもの悩みを聞く体制を整えようということで、学校カウンセラーを各校に派遣したりといった試みがなされてきていますが、スペインではその辺、どうなっているのでしょう?
知り合いのスペイン人に聞いてみたのですが、どうも話がかみあいません。そこで、日本の教育現場の状況やいじめなどの問題について説明し、「日本では、学校にいる間に体調を崩したり怪我をしたりしたときに、手当てを受けたり休息をとったりできる保健室という部屋が、今そういう生徒達の受け皿になっている」と言うと、なんと、通常スペインの学校には、そもそも保健室という部屋自体がないというのです。
「じゃあ、学校で病気になったり怪我をしたときはどうするの?」と尋ねると、「もちろん、そういうときは家に電話して迎えに来てもらうんだよ」とのこと。そういう状況ですから、もちろんカウンセラーなどいる訳ありません。
なるほど、日本のほうがその辺は進んでいるんだな、と一瞬誇らしい気持ちになったのですが、考えてみたら、そうとも言い切れませんよね。「そもそもスペインでは学校にカウンセリング機能を持たせなければという発想がない」ということは、裏を返せば「そういう機能が必要であるという状況に陥っていない」ということを示しているのでしょうし、病気や怪我のときにも、家の人が迎えに来ることが難しくない環境にあるということです。
「スペインでも『学校嫌いで学校に行かなくなってしまった』なんて話は結構ある」と耳にしました。そんなときはどうするのかというと、「どうするも何も、本人が行きたくないって言うんだから仕方がないじゃないか」とのこと。周りがそんな風だからか、本人もそれほど思いつめたりしないようです。案外、至れり尽くせりの体制を整えるより、こういった「問題を問題として捉えない鷹揚な姿勢」のほうが子どもを救う場合もあるのかもしれませんね。
|